『波伝谷に生きる人びと』を観る前に~波伝谷での試写会①~
vol. 50 2015-03-13 0
こんばんは!プロジェクトマネージャーの野村です。
今日から新シリーズがスタートします!『波伝谷に生きる人びと』が波伝谷や南三陸町といった地元で行われた上映会とともに、今のカタチとなっていく軌跡を辿るシリーズです。
『波伝谷に生きる人びと』の舞台である波伝谷ではこれまで3回にわたる試写会が開かれています。その3回とは2011年12月に開かれた第一回途中経過版試写会、2012年11月に開かれた第二回途中経過版試写会、そして2013年8月に開かれた完成試写会です。その後2014年1月には南三陸町全体を対象にした完成披露上映会が開かれ、同年夏には宮城県沿岸部を中心とした11カ所での縦断上映会が開かれました。これらの上映会の軌跡は、監督が震災を経て『波伝谷に生きる人びと』を今のカタチにし、その意味を確かにしていく過程でもあったのです。
そこで今回のシリーズでは、これらの上映会をご紹介しながら、「134分バージョンへの道のり」(1月30日の公開アップデート)では伝えきれなかったこの映画のことをご紹介します。その最初となるのは2011年12月、震災の影響がまだ色濃い時期に波伝谷のみなさんを対象に開催された6時間にもおよぶ試写会です。
波伝谷ではじめて映画が上映された2011年12月といえば、ガレキの撤去も本格的にはじまったばかりという時期です。そしてこの時公開されたバージョンは今とは構成が全く違い、タイトルも『波伝谷に生きる人びと―第1部―ENTER THE PLENTIFUL WORLD ! 』というものでした。
これは「キャメラを持った作者自身が地域社会にどう受け入れられていくのか」という視点の下に、両者の関係を軸として南三陸の漁業者の生き様や地域の結びつきを描きだすというもので、その構成も当初第1章「波伝谷への道」、第2章「光を求めて」、第3章「その先へ」と3つに分かれていました。しかし実際に上映されたのは群像劇である第1章(219分)と個人を追いかけた第2章(120分)だけで、監督自身を描くはずだった第3章は未完のままでした。それでも6時間余りという長さです。
この2本を上映するのに休憩や昼食をはさんで朝の9時30分から夕方17時までという長時間…それを3日行うという一大イベントとなりました。しかし震災後バラバラになった波伝谷の人たちが一同に会する機会にしたいという監督の思いに応じて、波伝谷のお母さん方がお昼のお握りを用意し、また沖縄や福岡などからも波伝谷ゆかりのボランティアたちがわざわざかけつけ、多くの人の協力のもとに実施されることになりました。
会場は震災直後に避難所ともなった宮城県志津川自然の家です。3日間の上映には波伝谷の方をはじめ100名以上が来場しました。震災前の波伝谷が映るということで映画への期待のほどが伺えます。避難所から分散して仮設に移った波伝谷の人たち同士、そして波伝谷で活動したボランティアの方との再開の場ともなったこの上映会についての報告は、当時のピーストゥリー・プロダクツ公式ブログにありますので、詳細は以下をご参照ください。(上映後の反応についてのブログ記事は、次回の②とも絡みますので次回に!)
「第3回:『波伝谷に生きる人びと―第1部―ENTER THE PLENTIFUL WORLD ! 』現地試写会の報告」http://peacetreeproducts.blog.fc2.com/blog-entry-3.html