ガルトゥング博士来日への期待メッセージ/佐谷 恭さんより
vol. 5 2015-06-28 0
株式会社旅と平和の佐谷恭と申します。“平和学の父”とも呼ばれるガルトゥング博士の来日を楽しみにしています。この機会に、一人でも多くの日本人に博士の考え方が広がることを期待します。
私は旅を通じてさまざまな国籍・立場の人と出会い、「旅人が平和を創る」時代が来たと確信し、8年前に会社を作りました。インターネットが発達し国家を介さない「つながり」が世界中で日々生まれているいま、個々人の行動が世界平和のための構成要素となります。
中央アジアを旅している最中、外交官射殺の現場付近に居合わせた際に、多くの旅人と「平和」について議論しました。そこから着想を得て「旅と平和」について考え始め、旅人の立場で世界を捉える試みを始めました。イギリスのブラッドフォード大学というところに「平和学」という専攻があることを知ったのがその直後です。そこに留学後、最初に知ったのが「積極的平和」(positive peace)の概念でした。
積極的平和の条件である「構造的暴力のない状態」を実現するために、国境を越える旅人の動きと彼らが生み出すアイデアや人と人との関係が極めて重要であると感じました。そのことを修士論文に記し、準備期間を経て「旅と平和」を起業しました。
最初に始めたのが「パクチーハウス東京」です。誰とでも気軽に話せる外国のゲストハウスのような空間づくりを目指し、食という“誰もが毎日することの一つ”にその要素を組み込み「交流する飲食店」としました。パクチーという食材を選んだ理由は、旅や国際交流を好む人たち(≒旅人)が「知っている」素材だからであり、そのスペルを「paxi」(pax=ラテン語で平和、i=旅人)として自らのメッセージを込めています。旅を単なる思い出として心にしまっておくのではなく、旅で得た感覚を日常に生かすためのプラットフォームでありたいと思っています。
他に行なっている「コワーキング」と「シャルソン(=ソーシャルマラソン)」の各事業も、それぞれ「仕事」や「ランニング」にコミュニケーションの要素を加えることにより、利用者・参加者が「つながり」を持ち、「コミュニティ」を醸成する仕組みです。元来異質な「他者」との関係づくりが、ビジネスや地域の発展になるという意味で、広義の積極的平和の達成を事業の目的としております。
ガルトゥング博士の来日をきっかけに、多くの日本人が「積極的平和」を理解し、個々人の活動が築けるものとしてその概念を「取り戻す」ことを切に願っています。
株式会社旅と平和 佐谷恭