前年までのプロジェクトへの改めての御礼と、2017年の「ふとんP」について
vol. 10 2017-12-29 0
ふとんで年越しプロジェクトを応援していただいているみなさまへ
お世話になっております。「ふとんで年越しプロジェクト」の呼び掛け人の大西連です。
まずは諸々のご連絡やご挨拶が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。以下、現状までの「ふとんで年越しプロジェクト」の課題についてと、本年の活動についてのご報告となります。
ふとんで年越しプロジェクトの「成り立ち」
例年、年末年始の役所の閉庁期間は公的機関の窓口が事実上ストップしてしまうので、ホームレス状態の方や生活に困ってしまった方が相談する場所がなくなってしまいます。
数十年前より、そういった方たちを支援するための民間の支援活動は存在していて、特に、都内だと、新宿、渋谷、池袋、山谷地域などでは越年越冬と言って、野宿の人たちと一緒に年を越そうという活動がおこなわれてきました。
僕自身も、新宿でのそういった越年越冬の活動に参加してきたのですが、活動に携わるなかで、そういった活動はとても重要なのですが、それだけではなかなか対応しきれない部分があるなと感じていました。
例えば、同様のアクションで最も有名なのは2008年から2009年の年末年始におこなわれた「年越し派遣村」という活動です。
これは、2008年秋のリーマンショックの影響で国内製造業などで多くの派遣労働者が雇止めに合い、派遣会社の寮からも追い出されてしまった「派遣切り」と呼ばれた社会現象に対応する形で組まれた支援活動です。当時、日比谷公園に500人ほどの人が支援を求めて集まりました。
これ以降も、同様の活動は毎年続いているはいるのですが、この頃から、日雇で働いていて年末年始は仕事がない、などの人たちだけではなくて、ネットカフェで寝泊まりしている若者たちや、実家や同居人からのDVや暴力があって家を出ざるを得なくなった人たちなどのニーズにも対応しなければと現場で切実に感じるようになりました。
特に病気や障がいを持っている方や女性の方など、個室できちんと寝泊まりできる環境を用意できないと、非常に厳しい方などは、これまでの支援活動ではなかなか対応できていませんでした。
そういったニーズに対応するために、2013年~2014年の年末年始に「ふとんで年越しプロジェクト」を呼びかけ、多くの団体、個人の協力によって、都内の各地の団体の連携やネットワークをいかして、年末年始のシェルター提供や医療相談、生活相談等のワンストップ体制(そこに行けばどんな相談でも対応できる体制のこと)を構築しました。
「ふとんで年越しプロジェクト(以下、「ふとんP」)」は、毎年、クラウドファンディングでご寄付をいただき、これまで計4回実施してきました。
支援してきた人は4年間で100人をこえますし、支援者は全員がボランティアでおこなうのですが、関わってくれたボランティアさんも実数で100人をこえます。
これだけの支援を展開することができたのは、多くの方のご支援の賜物と思います。
アフターフォローに課題が
ここまでは良いのですが。今年も「ふとんP」をやるのか、というと、ちょっと辛いのではないか、というのが率直な感想です。
何がつらいかというと、年末年始期間に関わってくれる方は本当に毎日30人くらいボランティアで来てくれて、専門家から実践家まで、素晴らしいメンバーでチームを組むことができるのですが、一方で、年明け後には関われるメンバーが一気に減ってしまいます。
多くの方は(僕も含めて)、通年でのそれぞれの支援活動があり、年末年始はそれが多くの場合お休みに入るので「ふとんP」にコミットできるわけで。年が明けて閉庁期間が過ぎれば、当然、自分の職場に戻って行くわけです。
とはいえ、シェルターで支援した方については、それぞれの年明け後の行き先や(生活保護の申請等も含めて)、丁寧なフォローアップを必要としますので、各団体でそれを引き継いでくれる場合ももちろんあるのですが、この4年間の多くの場合で、なかなか個別の団体のみでは対応できないことも多く。(抱えている問題が多い方やその団体の専門性では対応できないこともあり)
コアメンバー、特に僕の負担が正直半端ではなく、例えば生活保護の利用が決定した後もアパート探しやら、介護が必要な人はおつなぎしたり、医療機関と相談したりといった社会資源へのつなぎを福祉事務所と連携して丁寧にやらないと難しい方が多かったり。
また、年明け後に仕事が決まっているから支援はいらないよ!と颯爽と去って行った方が、やっぱり仕事がうまく行かなかったと戻ってこられたり。
フォローの相談や同行等は例年、4月中旬くらいまでは続き、かつ、去年とか一昨年の方とかからも、飛び込みで相談が来ることもありますので、文字通り、終わりがない状況でもあります。
こういった、アフターフォローは本当は何人かで手分けして分担したりチームで取り組めればいのですが、なかなか毎年関われるメンバーも変化したり、支援の現場にいた人が転職したり、家庭の状況が変わったりと持続的に関われているわけではなく、数名の(片手で数えられるくらい)コアメンバーの負担が増加しています。
本年はミニマムな体制で
なので、今年は「ふとんPを一切やらない」という選択肢もあったのですが……。
実は、すでに、多団体などから、「こういう方をお願いできるだろうか」とか、「今年は来てくれるのか」とかお問い合わせをいただいており、実際に現場でのニーズが必ずしもなくなっているわけでも、そのニーズを各地の支援団体が「ふとんP」の代わりに担えるほどになっているわけでもないので、やはり、今年も実施したほうがよいのではないかと考えているところです。
とはいえ、今年は、できるだけミニマムの体制でやろうと思っており、いうならば「ふとんP mini」という形でやれればと考えています。
財政的にはクラウドファンディングをやらなくても過去4回のご寄付の繰越で何とかやれる範囲でおこなおうかなと考えております。
ですので、「ふとんで年越しプロジェクト2017」は、大々的にボランティア募集などはせずに、miniとして小規模なチームで、でも必要な人に届くように工夫をしながら取り組みたいと思っています。
改めまして2017年~2018年の年末年始「ふとんP mini」という形でおこなうプロジェクトに、ご理解・ご協力のほどを、よろしくお願いします。
大西連
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