\STORY 3/6/
vol. 9 2017-08-06 0
STORY3/6
優れた技は、優れた道具たちから生まれます。STORY 3/6 では、職人の腕を支え、まるで職人の一心同体になったかのように動く道具たちを紹介します。
はんさし-Hansashi-
ステンレス製や鉄のものがあり、「ねりまぜ」や「芯立て」など豊橋筆の製作において使用する頻度が一番多い道具です。 豊橋筆の伝統的製造方法である「練り混ぜ(ねりまぜ)」工程の際、丸い方(後方部分)で毛をのばし、尖った方(先端)で丸くする。はんさしが自分の体の一部のように使いこなせて、職人人生がスタートするため自分の好みによって長さを変えたりします。かれこれ40年以上使用している職人さんもちらほらと。
金櫛-Kanagushi- さらい板-Saraiban-
金櫛とさらい板は品質の悪い毛を抜き出すのに使います。何千本とある毛から、ねじれたり、毛先が切れた毛は、金櫛にひっかかってすくいとられます。その光景は、まるでマジックをみているかのようです。さらい板は金櫛でもとれなかった手強い毛を抜き取るのにつかいます。豊橋筆を製造する道具の中でも仕事人的存在です。
なめ板-Nameita- はさみ-Hasami-
大きさは、職人よって大小ばらつきはありますが、なめ板は、約15㎝ぐらい。なめ板で洗練した毛を揃えたらハサミでばっさり毛を切ります。
こま-Koma-
芯立ての際に筆の太さを決めるのに使用する。大小役20個あり、職人たちは、寸部の狂い無くコマの大きさに合うように毛を束ね仕上げていきます。
分板-Buita-
オーダーに合わせて穂先を揃えるために使用される道具です。穂先を円錐形にするために時には20通り以上もの異なる長さの毛を均一に混ぜ合わせて穂先を作ります。その他にも、職人さんによっては、必要に応じて様々な道具を使います。
福筆もこれらの道具を使用して製造されます。豊橋筆に限らず、伝統工芸品を製造する際に様々な道具が使用されます。つくり手の想いや創意工夫が詰まった工芸品の裏側にある道具に注目してみるのも、面白いかもしれません。
次回、STORY 4/6は、豊橋筆に使われる獣毛たちについてお伝えします。