\STORY4/6/
vol. 10 2017-08-10 0
STORY4/6
STORY4/6では、豊橋筆の「素材(毛)」についてクローズアップいたします。普段、書道等で使用されている筆の毛について気にすることは無いかもしれませんが、豊橋筆を製作するのに、どの毛を使うかは命とり。使用する獣毛の毛質で書き味も大きく変化するので獣毛選びはとても重要なことなのです。でわ、そんな豊橋筆に使用される「毛」について少しですがご紹介させていただきます。
山羊-Yagi-
筆には尾や背の毛が使用され、毛先が良く、力が弱いですが、墨の含みが良いため命毛(中心にある毛)を覆うような化粧毛として使用することが多いです。書道筆や画筆とする場合も、細かい線描よりにじみやぼかしを活かす用途に適しています。
化粧毛:見た目の美しくするだけでなく、筆の内側に使用される弾力がある馬や狸の毛が外に開いて行かないようにまとめるものを指します。
鼬-Itachi-
イタチの毛を使った毛筆は高級品とされています。特にシベリアイタチの尾毛は、画筆や書筆の高級原毛として使われる。弾力がありしなやかで、揃いが良い。主に小筆の製造の際に使用されます。
栗鼠-Risu-
豊橋筆では主に栗鼠の尾を使用しています。美麗で、柔らかく粘りがあり色彩豊かなのが特徴です。豊橋筆では山羊の毛と同様に化粧毛として使用されることが多いです。
狸-Tanuki-
幼獣は、肩から前足に掛けて焦げ茶の体毛で覆われており、有効な保護色となっています。毛先が良く、弾力が非常にあるのが特徴で珍重されており豊橋筆では、背の他、胸や尾の毛を使用しています。またその機能性を活かし、筆の内側(芯に近い部分)に使用されることが多いです。
馬 - Uma -
馬の尾にあたる尾脇毛を使用しています。毛筋が良く、光沢、粘りがあり外国産のものは毛丈の長いことが特徴です。書道用以外にも毛が太く長いので、ヴァイオリンや胡弓、ヴィオール、二胡など擦弦楽器の弓毛に用いられています。またモンゴルの馬頭琴など、騎馬民族の擦絃楽器では弓毛に加え、弦も本来馬尾毛で作られています。この他、織物に使用することがあります。
孔雀 - Kujaku -
羽は工芸品に広く分布されてきたほか、神経毒に耐性を持つためにサソリ等の毒虫や毒蛇類を好んで食べることから、益鳥として尊ばれています。最も有名なのは羽が青藍色のインドクジャクで、翠系の光沢を持つ美しい羽色のマクジャクは中国からベトナム、マレー半島にかけて分布しており、豊橋筆では主に創作作品のために使用されます。
いかがでしたでしょうか?一概に筆の毛と言っても用途によって、さまざまな毛を使用します。使用される獣毛の毛の特徴をつかんで豊橋筆の職人は一本一本筆を製作していきます。これも巧みだからこそなせる技なんです。
福筆には、高級化粧筆に使用されることが多い山羊を使用して製作させていただきます。その繊細さから製造には時間はかかるものの、滑らかな仕上がりになります。
次回、STORY 5/6は、豊橋筆職人、川合福男さんについてお伝えします。