Toyohashi Fude STORY1/6
vol. 7 2017-07-30 0
世界には、誰かに自慢したくなる物があります。
日本にも、誰かに自慢したい物がたくさんあります。
そして、地方にも。
愛知県豊橋市には、江戸時代から 200 年もの間、受け継いできた 技法で作り続けてきた豊橋筆という逸品があります。 それは、まるで芸術作品のように研ぎすまされ、作り込まれ、 作り手から使い手へと渡されていく。
今回クラウドファンディングで製作する福筆は、魂を込めて作り上げた豊橋筆の技術をを次の 100 年に繋げる一助として取組んでいます。
そして福筆の大元となる豊橋筆について全6回のストーリーとして皆様にご紹介させていただければと思います。
【STORY1/6 豊橋筆200年の歴史】
豊橋筆の始まりは、江戸時代後期に、現在の豊橋市にあたる地域を支配していた吉田藩の藩主が、京都から、藩のために筆を作る職人を迎え、下級武士に副業として筆作りを奨励したのが始まりです。また、穂首の原料となる狸(たぬき)、いたちなど獣毛が容易に入手できたことなどから、産地として発展したといわれています。
明治のはじめに、現在の筆と同じ作りの水筆の製法で筆が作られるようになり、豊橋筆の基礎となりました。現在まで200年以上にわたり伝統的技術・技法を受け継ぎ、筆作りに励んでいます。
より丁寧に、より厳しく。
日本には、豊橋筆を含め、化粧筆で有名な「熊野筆」の他、川尻筆、奈良筆の4つの筆が伝統工芸品として国から認定されています。それぞれ少しずつ製法が違い、その違いは、書き味として現れます。
豊橋筆は原材料の混毛に、水を用いて交ぜあわせる「練(ね)りまぜ」の工程を通じて”墨含みが良く、墨はけが遅く、使いやすい筆”となり、高級品として全国でも有名な高級筆となりました。
そんな高級筆である豊橋筆の特徴は、なんと言っても製造方法
豊橋筆が完成するまでにはおよそ36工程ほどあるとされています。
その中でも大きく分けると7工程あり、水を用いて交ぜあわせる豊橋筆最大の特徴である「練(ね)りまぜ」の工程などは1度だけではなく、職人の目で見て何度も行われます。
①選別:筆を作るのに使用する毛の選別作業です。
②毛もみ:籾殻を焼いた灰をまぶして加熱し鹿皮で毛を巻き、揉んで毛の油分を取り、毛を直し整えます。
③寸切り:『寸木』と呼ばれる定規を使って、はさみで毛をそれぞれの長さに切ります。 この工程は筆の形を整える作業となります。
④練りまぜ:原材料の混毛に、水を用いて交ぜあわせる豊橋筆最大の特徴です。
⑤上毛掛けは巻いた穂に上毛(化粧毛)を着せる作業です。
⑥仕上げ:穂の根元を固め軸に差し込み、穂の形をノリで固める作業です。
⑦刻銘(こくめい):名前を彫刻して、完成。
次回、STORY2/6はそんな豊橋筆の職人技について詳しくお伝えさせていただきます。