あらすじ詳細版公開!(ネタバレではありません)
vol. 3 2020-06-06 0
『SANSO』あらすじ 詳細版
脚本:高矢航志
もしもあなたがここにいたら、
もしも自分だけを必要としてくれたら。
生きる理由にするには、現実はあてにならない。
憧れていた若き女優のガス中毒死。
あるゴミ回収業者の青年は、会話したことすらない想い人の急逝にショックを受ける。
激しい愛情にもかかわらず、彼が知っていたものといえば二つだけ。女優の笑顔と、彼女の家庭ゴミに混じっていた幼馴染=通称〈生ゴミ〉からのラブレター。
心が空っぽになった青年には、死んだはずの女優の姿が見えるようになった。
どうして皆の前から消えたんです? 太陽のように輝いていたあなたが。
事故死、自殺? 理不尽だ、ありえない。だってあなたはいつも明るい笑顔だったのに!
「じゃあもしも私が『誰かに殺された』っていったら、君は信じるの?」
女優の台詞に、小心者の青年は覚悟を固める。
彼女を殺した犯人を見つけ出して「仇をとってみせる」と。
精神的な苦痛から目をそらすため、もう一人の自分を生み出してしまう現象《カイリ》。
臨床心理士の所見は、青年が深刻な幻覚症状にとらわれているというものだった。
青年の友達は、彼を治してやるため心理士にカウンセリングを依頼する。
そんな心配をよそに、青年は想い人のため、いるかどうかもわからない犯人捜しを勝手に始めていた。
彼が向かうのは、生前の女優が住んでいた都市郊外の小さな陶芸アトリエ。
田舎といって差し支えないその町は、地元有力者の男と彼の経営するプロダクション会社が牛耳っていた。
次々と現れる、いかにも怪しい社員、いかがわしい共演者、逆に善良そうな陶芸教室の生徒。共通しているのは、「彼ら全員に女優は愛されていた」ということだけ。
住人たちから手がかりを得るため、青年は女優の幼馴染〈生ゴミ〉のふりを始める。見知らぬ男を演じながら、好きな人の意外な姿を知っていく青年。そして彼の行動をきっかけに、事態は予想外の方向へと発展していく。
やがて明らかになる、目もあてられない真実の輪郭。
どこまでが現実か? どこからが演技なのか?
最愛の女優はどうやって最期を迎えたのか?
混乱する衛星都市の片隅を舞台に、再び起こる惨めな事件。
悲しみを乗り越えるには、さらに大きな悲しみを。
妄想が妄想を呼ぶ四十九日間の復讐劇、その幕が上がる――。
※あらすじは変更になる場合があります。