過去公演紹介『寒い冬が来る』
vol. 7 2019-03-17 0
過去公演紹介
『寒い冬が来る』
この公演は、「冬」をテーマにした中編作品を2本上演しました。季節は秋。夏の暑さも身を引き、冬が来るんじゃないかという予感を感じさせる季節。これからの寒さに身が凍えてしまいます。
1本目は『人は生きる、それでもなお』という作品で、主人公が路地裏で休んでいたら、向こうはこっちのことを知っているのに、こっちは向こうのことを全然知らないおじさんにからまれる話です。おじさんは、主人公の事をとてもよく知っているような振舞いをします。他言していないあんなことやこんなことを知っているような振舞いをします。精神的に追い込まれていく主人公と、何かを知ってそうなんだけど、全然本質的な話をしてくれないおじさんの不条理芝居です。
この作品は実はというか、まんまというか、別役実さんの作品に影響を受けて書いています。別役実さんは、日本にサミュエル・ベケット氏で有名な「不条理劇」というジャンルを輸入したことで有名です。今一つ「不条理劇」というものが何なのかはつかめませんが、別役実さんの作品が持つ奥深さ、おかしさ、気持ち悪さにひかれて、書かれた作品です。
2本目は『寒い夜にはおでんが食べたい』という作品で、少々病弱な奥さんと、趣味で小説を書いている夫の物語です。今日は何の日でしょうクイズをしたり、今日の夜ご飯は何でしょうクイズをしたり、たわいもない日常がいとおしく思えるような、おでんがあったらこれから訪れる冬も乗り越えることが出来ると思えるような作品です。
コチラの作品は実はというまでもなくそのまま、松田正隆さんの『海と日傘』という、玉井が最も好きな戯曲に多大なる影響を受けて書かれています。『海と日傘』を我々が行うにはあまりにも若すぎる。どうにか若い我々が若気の至りでできないモノか、と苦心して書かれました。玉井はそういった思い入れがあるので、結構気に入っています。
寒いからこそ暖かさが身に染みる。寒いからこそお出しが美味しいのです。
おでんが食べたくなってきましたね。