大小島真木の水のような木
vol. 14 2014-07-26 0
プレエキシビションの会場となる小さな公立学校のあるナング村。
ナングという言葉は、ラダック語でルーム(部屋)という意味だという。
岩山に囲まれた緑のオアシスとも言えるナングは、
心安らぐ部屋のような、ピースフルな村だ。
大小島真木の壁画は、
そんな村の学校の教室から、
幾重ものレイヤーで、この世界を透視していく。
まずは、地下水を吸い上げ、蒸散し、水を循環させている木だ。
ヒマラヤの雪解け水が彼らの生命線で、
地下水脈が豊かなナング村は、緑あふれる農村だ。
しかし、雪が減ってきていることは、
この土地のみんなが知っている。
毎日見上げる山の根雪の形からもそれは明らかだ。
変化は静かに忍び寄っている。
美しい森の尊さをこの絵は物語っている。
今回の彼女の木は横向きに伸びている。
「ブリッジ」のような存在を表してもいるという。
人と人をつなぐ架け橋。
村の人たちと、遠い異国からやってきた私たちをつなげる。
水のような美しい木には、そんな意味も込められている。
photo & text by akko