ミニシアター・エイド基金 明日よりスタート
vol. 8 2020-04-13 0
小規模映画館支援のためのクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」、いよいよ明日4/13(月)13時からスタートアップとなりました。映画監督の深田晃司さん、濱口竜介さんが発起人となり、有志の方が集って超特急で準備が進んでいます。こちらは先日もご紹介しましたが、広く一般にクラウドファンディングの形で支援金を募り(もちろんリターンは各種用意されています)、全国の小規模映画館=ミニシアターに対して集まった資金を分担するというものです。国や地方自治体からの公的な支援が見込めないまま時は過ぎ、数々の映画館がいつ明けるともわからない休館を余儀なくされ、営業を続けていても通常の50〜80%減収入の日々が続くという衰弱の一途を辿っている今、広く一般に少しづつ支援金を募り、迅速に全国の映画館に還元するという手だてです。
▼ミニシアター・エイド基金Twitter
https://twitter.com/minitheateraid
どうぞ皆さま、ご注目・ご関心ください。
お近くの方へも、少しでも広めていただければありがたいです。
こちらの基金に皆さんのご支援を集中していただくことで、全国約60館の小規模映画館へ少なからぬ資金が分担され、生きながらえる可能性が高まります。
私自身、この状況が発生し、「これは大変なことになった」と実感した3月下旬、今何をすべきなのかを考えました。自分のところは自助努力で何とかやりくりするとして(その手立てのひとつが【未来券】販売)、同時に、これは国内の「映画館文化」全体が同じように影響を受けることなので、その大枠では以下の3つが即時必要なんじゃないかと浮かびました。
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【1】国に対し、小規模映画館への公的な経済支援を強く要請すること。
【2】先んじて感染拡大状況が悪化して映画館が停止し続けている海外(アメリカ、ヨーロッパ等)の映画館状況および公的支援状況、映画館自身の対策を知ること。
【3】第三者的な立場から一般に向けて発信される直接に多くの映画館を支援する仕組み。
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【1】については残念ながら現在も悲観的な観測で、映画館やホール(ライブハウスやクラブ)等いわゆる「興行場」に類する業種への公的資金注入には、国はいまだに及び腰であると思います(少なくとも私からはそう見える)。こうした「興行場」は「文化的な場」としても機能している存在であり、営利活動であると同時に文化活動の場だという側面があるため、公的支援を対策する区分として経産省扱いなのか文科省扱いなのかもグレーな状態で、埒が明かないのではないかという気がします。あくまで私の想像でしかありませんが。
それは文化庁宮田長官のこちらの文書を読んで理解しました。https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/sonota_oshirase/20032701.html
「あ、何もしないんだ」と。現総理大臣の数々の会見で度々繰り広げられる絶望的な様相に裏打ち・追い打ちをかけられたように感じました。
翻って、たとえばドイツでは、メルケル首相とグリュッタース文化相による「アーティスト支援」への具体的で的確で分厚い対策がありました。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92928.php
ドイツと日本のこの差って一体……と思ってばかりもいられません。それでも【1】について、公的な支援を求める声はあげなければならない。だって今わたしたちはこの国にいるんだし、これまでもわたしたちはみんなでこの国で映画文化を担ってきたじゃないか。
そうして4/4、多くの映画人の皆さんが集ってくださって、SAVE the CINEMAの署名活動がはじまりました。
https://twitter.com/save_the_cinema
4/14(火)まで署名を集めています。目標10万筆。今、もう少しで5万筆というところです。
国に届けましょう。映画文化の場にこれだけの声が集まっているということを。
【2】については、たとえば国内の映画館に遠隔から支援できる情報を、入江悠監督がセルフで集め始めてくれていました。そのリストは映画ナタリーさんに引き継がれて随時更新されています。
https://natalie.mu/eiga/news/374224
これと同様に、海外の各国の映画館がどうやってこの状況を乗り越えようとしているのだろうということを集約する場所があったらいいなと思ったのは、アメリカやヨーロッパの方が日本より先に危機的な状況になったということ(そしてそれはまだ続いている…)、その中でどういう施策を打ち出しているかを知ることで、わたしたちも自身で出来ることが増えるかもしれないという思いです。実際、【未来券】の発想も、欧州の閉鎖された映画館でチケットの先売り始めているということを聞いて、やってみようと手を付けられたことがあります。上記のドイツの例のように、各国の文化芸術に関する政府の施策から、映画館単体での取り組み、業界全体の取り組みなど。韓国の映画業界も、国に対して支援要請の声明を出していますし、昨日ご紹介したアメリカの映画館主たちの声なんかも、こちらの当事者としてはそれを知れるだけで「まだまだ先は長いぞ」とか「もっと踏ん張ってやる」とか思えるわけです。思考が広がる。ですがこの【2】については、まだ誰も手を付けられていないですね。私もできるだけ日々情報にあたってはいますが、他にやることがありすぎて……なので、誰か手を挙げてくれないかなぁ……なんて思ってます。
【3】については、これはもうまさに「ミニシアターエイド」がドンピシャで体現してくれます。3月下旬から今回のことであちこち連絡したり相談したりしているうちに、濱口監督から連絡をいただいて、「深田さんとこういうことをやろうとしている」と聞いた時は、現実じゃないんじゃないかという感覚に見舞われました。「まさにそれ!」
さて、彼の国アメリカでもインディペンデント映画館のために、ファンドが立ち上がっています。
▼Art-House America Campaign
https://www.gofundme.com/f/Art-House-America?fbcli...
こちらは非営利団体 “ Art House Convergence ” が運営しているとのこと。
https://www.arthouseconvergence.org/
こちらの「Art-House America Campaign」ページを見てください。本文の「read more」クリックして。休館中のアメリカの映画館がみんな、玄関の電飾の文字でそれぞれのメッセージを掲げてます。
「Now showing no close encounters of any kind」*『未知との遭遇』をもじってる。皮肉屋さんだな。
「Always look on the bright side of life」*モンティ・パイソンじゃん!
「We’ll get through this together」*ウチの商店街の標語「いつもあなたのそばにある」に近い。
「I will see you again. But not yet not yet」*「もういいかい」「まあだだよ」って感じ。
それぞれの個性炸裂です。
さて、今週も日曜が終わり、月曜になりました。
今週はどんな週になるのか…なにはなくとも「ミニシアターエイド」へ!
どうぞ皆さま、よろしくお願いいたします!
出町座 田中・拝