英国の作曲家ディーリアスの晩年を愛弟子フェンビーが描いた伝記の翻訳出版をクラウドファンディングで実現!

英国の作曲家ディーリアスの晩年を描いた伝記の日本初の翻訳出版&ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会を成功させたい!

英国の作曲家ディーリアスの晩年を愛弟子フェンビーが描いた伝記が、ロンドン在住のヴァイオリニスト小町碧を中心とした万全の態勢でついに翻訳出版されます。記念リサイタルなども含めた「ディーリアス・プロジェクト」をご支援下さい!

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このプロジェクトは、2017年9月25日23:59に終了しました。

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このプロジェクトは、2017年9月25日23:59に終了しました。

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PRESENTER
林田 直樹

音楽ジャーナリスト・評論家 1963年埼玉県生まれ。「音楽の友」「レコード芸術」編集部を経て独立。オペラ、バレエ、古楽、現代音楽、クロスオーバーなど自在な著述活動を行う。著書「クラシック新定番100人100曲」(アスキー新書)、「ルネ・マルタン プロデュースの極意」(アルテスパブリッシング)他。インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンター、「カフェフィガロ」パーソナリティ。月刊「サライ」(小学館)に「今月の3枚」を連載中。

小町碧×林田直樹×オヤマダアツシ 「真実のディーリアスを語る」Part5を公開!

vol. 16 2017-12-07 0

※Part4からの続き

●ディーリアスと北欧

林田 ほかにどなたか──

── 私は今日の今日まで、ディーリアスはぜったいイギリスの作曲家と言えないと信じてたのですが、さっき小町さんが[ヴァイオリン・ソナタ第3番の第2楽章を]メロディだけ弾いてくださったのを聴いて、やはりちょっとケルティックな旋法的なところもあるのかなと思い直しました。ところがあの楽章を、ピアノの入ったCDで聴かせていただいたら、最後のところがオーベール[1782-1871。フランスの作曲家]とそっくり、終わり方はプーランク[1899-1963。フランスの作曲家]と同じだと思っちゃいました。やはりヴァイオリン・ソナタ《遺作》から第1番までのあいだに劇的に変わっちゃったんじゃないかと思います。
 けっきょくディーリアスって、イギリスで生まれただけなんだろうなと。ものの本を読むと、ラヴェルと仲良しだったそうですし……ラヴェルももちろんフランスの作曲家といってはいけなくて、まあハーフですね、スペイン、バスクとの。だから、あの当時のヨーロッパの人を括るときは、さきほどおっしゃっていたように、たまたま日本でエルガーなどが紹介されたのを、「これこそがイギリス音楽だ」みたいに信じ込まされた。そうやって分類したほうがわかりやすいからと定義されてしまった部分が、戦後の日本のクラシック業界では多すぎたと思います。ヨーロッパの歴史とかその作曲家の生い立ちをもう少し見たほうがいい。イギリス人だった8割がたはみんな大陸から渡ってきた人たちです。もともとあの島に住んでいた人、民族なんてほとんど1割そこらしかいないわけですよね。そう考えると混ざっててあたりまえで、まあ便宜上分けただけだろうという気がしてたんですが、オーベールとやはりプーランクに似てますよね。そう思いませんか?

小町 まあ、ほんとにいろんな影響があると思います。

── ディーリアスが逆に影響をおよぼしたところも?

小町 ああ、それもあるかもしれませんね。
 さきほど申し上げた《遺作》から第1番の22年間のブランクの間に、ディーリアスはたくさんの画家や作家などいろんな人に出会う機会があって、そこからたくさんのインスピレーションを得て、作曲家としてもどんどん発展していったと思うんですね。画家からの影響だけでなく文学……たとえば面白いと思っているのは、ディーリアスはクヌート・ハムスン[1859-1952。ノルウェイの小説家]と一緒に1896年にノルウェイを旅してるんですけど、その間にすごくハムスンの作品に影響を受けて、とくにハムスンの『飢え』っていう小説があるんですけれども、意識の流れをそのまま文章にするという手法による小説なんですけど、それがディーリアスの音楽の構成にもかなり影響をおよぼしたんじゃないかなと思ったんです。いろんな人からの影響をかなり自分の作曲に取り入れていた感じはしています。

── もしかしたらノルウェイ人的なのかもしれませんね。

小町 そうですね。グリーグからの影響はすごく大きいと思います。グリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番[1887]の第2楽章に出てくるメロディに、ディーリアスの《遺作》ソナタのメロディがけっこう似ている部分があるんですよ。ノルウェイの民謡やグリーグからの影響は大きいと思います。

林田 ノルウェイとか北欧の音楽って、イギリスではすごく好んで演奏されますね。たとえばシベリウスなんて、イギリスの人にとっては「お国もの」に近い意識で、まさに自分たちの音楽のように考えている。そうしたイギリスと北欧との関係を考えると、われわれがディーリアスを聴いてやはりイギリスっぽいなと感じるのは、グリーグの影響を受けていること、その少し北欧的なところからきているのかもしれないですね。

オヤマダ もしかすると水脈的につながっているのは民謡であったり、いわゆるフォークロアの世界。アカデミックじゃない音楽の部分でつながりがあるんじゃないかなと思います。実証はできないけども。民謡的だとおっしゃったのはやはり根底にある音楽体験がどうだったかという部分にかかわることですね。この本には、残念ながらディーリアスの少年時代は書かれていなくて、そこはたぶんこれから掘り進めていくべきところだろうなと思うけど、もしディーリアスについて、イギリス音楽というコンテクストで何か語れるとすれば、イギリスに住んでいた少年時代にどういうものを聴いて、どういう影響を受けたかということがこれからの研究テーマになるんでしょうね。もちろんイギリス本国ではすでに研究されているだろうと思いますが。

林田 バルトークみたいに一生懸命民謡を研究するタイプの作曲家と、それほどでもない作曲家がいると思うんですが、まったく民謡から切り離されている作曲家はそれほど多くはないと思いますね。

オヤマダ そう思うんですよね。光が当てられてないだけで。

林田 民謡とのつながりがどうだったかというのは、今後の探究課題かもしれないですね。

オヤマダ というか、生活全般にヒントが隠されているかもしれません。民謡じゃないけど、ラフマニノフみたいに、子どものころ聴いた教会の鐘の音を、自分のいろいろな曲に入れてしまっているというケースもありますし。

林田 ショパンは若いころ、一時期だけしかポーランドにいなくて、その後は二度とワルシャワには帰らなかったけれど、彼自身ポーランドの作曲家だという意識は強かったし、彼をフランスの作曲家とはなかなか言えないと思うんですけれども。

オヤマダ フランス人のピアニストは反論するけれどもね(笑)。

林田 われわれはナショナリティにこだわりすぎる傾向がある。しかも現在の国境に。

オヤマダ そこはもしかすると日本的なところかもしれないですよ。やはり地続きじゃないところの感覚が希薄ですよね。

林田 それこそさっきのカズオ・イシグロじゃないけど、ノーヴェル賞を獲ったとたんに、急にカズオ・イシグロを日本の作家にしたいと言い出す。


●ディーリアス・プロジェクトによる情報共有

── さっき、英国のディーリアス協会の話が出ましたが、今後日本で「日本ディーリアス協会」みたいなものが設立される可能性はあるんでしょうか? 私のまわりにはけっこうディーリアスにかぶれているディーリアンみたいな人がいるので、けっこう日本中にそういう人が散らばっているんじゃないかと思うんですね。あと二つ目の質問は、林田さんにおうかがいしたいんですけど、さっき《春はじめてのカッコウを聴いて》をいちばん最初に聴いて感動したというお話でしたけども、私は個人的には《高い丘の歌》[1911年作曲の合唱曲]を最初に聴いて、あるショックを受けて好きになったんですけど、この曲についてどういう感想をおもちですか?

林田 まず、日本ディーリアス協会の話ですけど、まだそういう話は持ち上がってはいないんですよね?

オヤマダ 聞いたことはないですね。

林田 これまでやろうという声はあったんですか?

オヤマダ やろうということは過去にありました。その話を聞いて「あ、そうだ」って思い出したのは、もう30年くらい前かな、ディーリアスがとっても好きだという若い女性の方が紹介された新聞記事があったんです。お会いしたこともあるんですが、その方は自分でニュースレターを手書きでつくって、コピーして製本したものも作っていて、たしかヴァーノン・ハンドリー[1930-2008。イギリスの指揮者]とか、イギリスの指揮者が東京に来たりすると自分でインタビューもして……そういう女性がいらっしゃったんですよ。その方が声をかけてディーリアス・ファンの集まりみたいなことを何回かやったり、レコード・コンサートみたいなことをしていたんだけど、そういう人もやはりいるんですよね。ポツンポツンと、おそらくいろんなところにいらっしゃるんじゃないかなと思います。

林田 日本にもいろんな作曲家の協会があるじゃないですか。モーツァルト協会もあればワーグナー協会もあれば、ヴェルディ協会もある。で、いつも思うことなんですが、その協会という組織には、なんとなくその作曲家の体臭が少しだけするんですよ。たとえば権威主義的な雰囲気のある作曲家の協会にはやはり権威的な臭いがして、なんかそこで組織化というかヒエラルキー化が起こるんです。誰かを会長にして、そして誰かが事務局長になって、いつのまにか上下関係ができ、会費を集めたりして、組織運営のうえでの求心力を必要とするからそうなるんでしょうけど、そういう、誰かを会長なり事務局長なりにして、自分たちがその作曲家のシマを支配してるというような、そういう組織を作るというのが、ぼく自身が性格としてそういうものから距離をおきたいほうなので、もちろんディーリアス協会があったら楽しそうだなとはちょっと思いますけど、そこで事務局長をやりますっていうのは、なんとなく自分の性にあまり合わないと思ってしまいます。だから、SNSとかで緩いつながりがあって、それから今回クラウドファンディングでやはりあるていど人が集まってくださっているので、それで何か情報共有できるようにするとか……。協会にするとか組織を作るとか、学会みたいな感じになるのは、あんまりディーリアスっぽくないかなとちょっと思います。

オヤマダ まあでも、ケン・ラッセルの映画の上映会みたいなものとかね。そういうことはあってもいいと思います。そこに音楽家などのゲストを呼んで、いろいろ話してもらう会があったら、たしかに集まってくれる人は意外に多いんじゃないかという気はしますね。でも、協会ってやはり、いま林田さんがおっしゃったけど、やはりその音楽を聴かないと始まらないところがありますよね。日本シベリウス協会は会員どうしの交流やニュースレターの発行だけでなく、積極的にコンサートをしてめずらしい曲を演奏したりしていますが、中心になる音楽家や音楽評論家のような方がいらっしゃるから継続できているのだと思います。もしディーリアス協会のようなものができるとするなら、小町さんみたいな方がいないとむずかしい。

林田 いま質問なさった方に逆におうかがいしたいんですけれど、もしディーリアス協会っていうものがありうるとすると、そこに何を期待されますか?

── いままでも本がいっさいなかったので情報不足でしたから、情報を知ることができたらと思います。もちろんコンサートとか、試写会とかもいいですね。

林田 今回「ディーリアス・プロジェクト」と名づけて、本の出版のみならず、リサイタル、それからCD、そして今日のようなトークイヴェントとか、その周囲で起きるディーリアス関係の企画は、みんな「ディーリアス・プロジェクト」と呼ぼうと決めたわけですね。クラウドファンディングもそうですが、そうやって何かものごとを起こせば、しぜんにいろいろな動きが生まれるだろうという期待もあって、このプロジェクトをやりました。ケン・ラッセルの映画の上映会みたいなことができるかどうかまだわかりませんけれど、この本はまだずっと生き続けて売れ続けていかなければいけないので、この本との関連を作れるかぎりでは、これから起きる新しいディーリアス関連のできごとは、プロジェクトの一環としてもいいんじゃないかと。そういった意味では、ディーリアス協会ではないけれども、ディーリアス・プロジェクトにご関心をもってくださる方には、ちゃんと情報が行き渡るようにしていければ、本にとってもプラスだろうとは思っています。

※Part6に続く

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