ベトナムと釜ヶ崎
vol. 62 2021-04-26 0
釜ヶ崎のまんなかにあるドヤに、ちいさな看板がかかった
「日本語学院」
いまから 8年くらい前だったと記憶している。
そして、数年前「国際アカデミー」と大きくて 立派なブルーの看板に変わった。
路上には、ベトナム人の若者たちが自転車に腰掛けながら
キャンパスライフを楽しんでいる姿を見かけるようになった。
ベトナム料理の店ができて、
ドヤ改装型のアパートにベトナム人がたくさん住むようになった。
+
4月下旬の土曜のことだ。
ココルームが清掃に行っているアパートのおじさんが
ベトナムの若者を連れてきた。
どうやら、おじさんは近所に散歩にいくのが日課で
公園でこの数日同じ若者をみて、野宿してるにちがいない、と
おもい、ココルームに連れてきてみた、という話だった。
+
技能実習生としてやってきたけど、あまりに理不尽で
一年あまりでやめて、友達の部屋を転々としながら一年余りたち、
パスポートもなくし、ビザもきれ、手持ちのお金がなくなった。
この5日あまり、何も食べてなかったそうだ。
「だいじょうぶ」
大変な状況のわりに、本人は笑顔だ。
+
そして、釜ヶ崎のコロナ禍における緊急宿泊支援のサポートを
もらえることになり、みなさんの恩送りチケットで
毎日、彼にごはんを食べてもらうことになった。
今日は相談員の方と警察に行き、パスポートの紛失を届けた。
ベトナム難民の支援をされている先生にも力をかしてもらえることになった。
FBの投稿をごらんになった 日本語教師の方が
近所だから、もし彼がのぞむなら日本語の練習につきあいますよ、と言って
さっそく今日、来てくれた。
彼は、いつもにこにこ、している。
ごはんの準備や洗い物、率先してやってくれる。
ベトナムに帰りたい、らしい。
さしあたって、支援の枠組みは、二週間。
その間に、どこまでできるか。
+
技能実習生の仕組み、入管のこと、おもうことはいっぱいある。
理不尽だとおもう。
だからといって、ネットの署名活動くらいしかできてないけど。
釜ヶ崎のちかくに、ベトナム人の女性が経営するベトナム料理屋があるそうだ。
「稲穂」という名前の店。
いつもベトナム人で、賑わっているそうだ。
彼をその店に連れていきたいな、と思う。
ベトナム語で「風」という意味の名前をもつ若者。
田んぼの稲穂が 風になびいている景色を思う。
+
みなさまの恩送りチケットが こうして、
ひとりの若者をささえてくれていることを
お伝えしたくて アップデートしました。
緊急事態宣言で、釜ヶ崎の商店街もひっそりとしています。
ココルームも、どうしたらつづけていけるだろうか と模索しています。
折れないで、しなやかに。
のびやかに、ほがらかに。
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