川の旅のはじまりに、「始まりの駅」が重なって。
vol. 30 2022-09-17 0
中央線芸術祭実行委員の金暎淑です。
今静岡県の三島市に来ています。
一週間、アーツカウンシルしずおか主催のアート事業の一環で三島に滞在していますが、旅の間、沢山の方と出会い、初めて出会う方々に自分の事について何度も何度も語りました。
そんな中で、このCenter line art festival Tokyo との出会いが、今の自分の新たなスタートの始発駅だと気付きました。
思えばここ数年、生きる上での優先順位的タスクが次々と課せられる毎日で、それを処理する事に時間と労力の殆どを費やしていて、自意識的に向かう先がわからず、二の足を踏んでいました。それでも、ここではないどこかに向かいたい思いで、スペースシェアリングプログラムに応募した事がきっかけで、そこから自然発生的に次の目的地が見えてきました。
次の駅のアート 、というコラムタイトルがありますが、このフェスティバルは、私を前に進めてくれる切符をくれた、大切な駅だと感じています。
具体的にお話しすると、昨年参加したスペースシェアリングプログラムは、作品を持ち寄るだけのグループ展ではなく、空間をシェアする事が一つの課題であり、参加者が数回のディスカッションを行う事が条件としてありました。多分そこに魅力を感じて応募したと思います。
そして今年はフェスティバルのオープニングプログラムとして、毎月テーマを設定した対話イベント、「ばとことば」を開催しています。私も全ての回に参加していて、テーマによっては「参加しない」の決断を下すという形で参加した回もあります。
このスペースシェアリングプログラムでのディスカッションの課程や、「ばとことば」に参加した時の対話の面白さが、今回三島で開催したトークイベント「老いをアップデートする!」の開催に繋がっています。そしてこの経験が、また次の目的地に私を連れて行ってくれる気がしています。
目指す先が何処なのかは、まだわからない。
先が見えなければ、進みたいという気持ちがあっても、不安や恐れが勝ってしまい、たった一歩が踏み出せない。
でも、その不安や恐怖を超える何かがある事を予感させる光や、怖がってる自分も受け入れられる、そう思わせる何かをこのフェスティバルから受け取っています。
フェスティバルディレクターの三浦宏之さんの言葉で、とても印象に残っている言葉があります。
「ばとことば 」に「アートと子育て」の回があり、その時に語られたのですが、自分は逃げる事で生き延びる、草食動物だと思っている。
肉食動物では無くて、逃げていく事も生き抜く力だと。
三浦さんの沢山の言葉の中で、たまたま私にはこの言葉が響いたので、これが全てではないと思います。多分現在の私にとって、探していた言葉、求めていたヒントだったのだと思います。
そうして今、私は旅に出る勇気を貰い、今本当に旅人になっています。
Center line art festival Tokyo という、アートの力を信じる旅人が集う駅を、ぜひとも応援してください。
皆様の応援が、ここに集った表現者達の切符となり、それはここからそれぞれ違った目的地へ向かうための、大切なエネルギーとなります。
どうか応援よろしくお願いします。
写真は柿田川湧水です。
柿田川が生まれる、川の旅が始まるところです。