「シブヤのツウ子」あらすじを公開します!
vol. 2 2013-12-11 0
神(ジン)は「おばあちゃん」を待っている。自分の祖母ではない。環(タマキ)の「おばあちゃん」だ。神は環と付き合っている、と思っている。急用が入ったという環の代わりに彼女の新潟からやって来た「おばあちゃん」に会うという役目を仰せつかっているくらいだ。
神はその「おばあちゃん」のことを何も聞かされていない。やがて、待ち合わせ場所に、若者だらけのこの街に、ひとり「おばあちゃん」がやってくる。神は「おばあちゃん」に声をかける。「おばあちゃん」は環から神が代わりにやってくることを聞いていなかったらしく、あまり神のことを快くは思っていない様子。神は馴れ馴れしく「おばあちゃん」と呼ぶが、「おばあちゃん」はぴしゃりと言う。「おばあちゃんなんて呼ばないで。あたしは、ツウ子。ちゃんと名前で呼びなさい」
こうして神とツウ子の1日デートが始まった。とはいえ、ツウ子は神をしきりに返そうとする。一人になりたがっているようなのだ。なぜシブヤにやって来たかを尋ねても、ツウ子は「人に会いに来た」というばかりで誰に会いに来たかは明かさない。一方の神は、他ならぬ環のためだ。ツウ子をエスコートすることを決めてがんばっている。だが、神が環のことを話せば話すほど、どうやら神が一方的に環を好きで、環にいいように利用されていることが分かってくる。
ツウ子は誰に会いに来たのだろうか。
神は、ひょんなことから、ツウ子が深夜ラジオ放送のアナウンサー/辻さんに会いに来たことを知る。しかも、ファンとしてではない。ラジオ越しに、きちんと恋をして、そうして新潟からやって来たのだ。辻さんがラジオ越しに、ツウ子に残したいくつかの手がかり。そうしたものは、ツウ子の心の切ない穴をどんどん広げていったようだった。神にはその痛みがとてもよく分かる。まだ、ツウ子の恋は彼女だけのものなのだ。ツウ子は今、その恋を自分の外へ広げようとがんばっている。神はそんなツウ子をとてもかわいらしく感じる。そして、環のためではなく、ツウ子のためにこの恋と冒険を応援しようと決める。
ツウ子は、辻さんに会えるのか。
辻さんに会えたら、ツウ子はどうなるのか。それはまだ、ツウ子にも分からない…