目指せ!輝きの音楽サークル
vol. 14 2021-05-18 0
理想的な音楽サークルの在り方
この社会には、義務制、高校、大学、一般と、世代や年齢を超えて多くの音楽サークルがあります。その目指すべき方向性とはいったいなんでしょうか?今回は、誰にでも分かる簡単な考え方をお話しします。
千葉東高校吹部を指導する筆者
大切なことは、参加者が輝くこと
サークルに参加した人たちから「真の輝き」を引き出すにはどうしたらいいのでしょう。
当たり前のことですが、指導者の名声、冨、権力の為にサークルがあるのではありません。重要なことは、指導者から参加者への「愛」が基本です。指導者の「心の底からの願い」が、思いやりをもってサークルに注がれたときに初めて素晴らしいものが形造られます。
「心の底からの願い」
先ず指導者は、その「心の底からの願い」を探し出さねばなりません。先ずは自身の心との対話から始めます。そして、専門技術を身に付け、教育力や指導力を身に付け、参加者の要望に応えて行きます。それは正しさと厳しさに裏付けられたものでなければなりません。更に、思いやりをもってそれらを継続する必要があります。大切なことは自他を地道に育てるということです。
具体的には
一に参加者の為、二に参加者の幸せの為、三に参加者の技術向上の為、そしてサークル全体の調和の為にと、順序立てて考えることが重要です。
参加者からの視点
参加者自らが成長したことに気付いた時には笑顔が出ます。指導者を信じ好きになります。そして、「また行きたいっ!」と感じてリピーターになります。それを積み重ねてはじめて良いものが生まれます。
こんな指導者はダメ!
指導者は、自分が一番正しい、自分に従うべき、自分を助けるべき、自分が一番偉い、などと自己主張しがちですが、実は参加者はそんなことは少しも求めていません。
参加者が指導者に求めていること
参加してよかった。技術を身に付けることができてよかった。時間を楽しめてよかった。友達ができてよかった。成長することができてよかった。良い思い出ができてよかった、等々・・・
参加者から最後に「先生のおかげ、ありがたい!」と思ってもらえれば「こちらこそ」です。指導者の役割は達成!そして報われます。
ユートピアの例
ではいったいどんなサークルが成功した例なのでしょう。目立たず静かに活動しているところにもそういった理想的なサークルはあります。もっと小さな単位で言えば、家庭やグループがあると思います。端的には参加者の表情、笑顔がユートピアの証明と言えるでしょう。
笑顔
参加者全員を笑顔にすることは難しいですが、理想的にはそれを目指したいです。全ての人たちはそれぞれに困難を抱えています。でも彼らがサークルに集まった時には、音楽を通して、それぞれの人たちから「笑顔を、幸せを」引き出せればと思います。ここで分かり易い笑顔の例を2つあげておきます。この笑顔を見れば、音楽サークルが目指すべきものがなんであるかが分かると思います。どちらも数分ですが、私の大好きな演奏の一例です。
クリスマス、孤独な少年、温かい手が差し伸べられて笑顔に。演奏は「リベラ」
青春を謳歌する少年少女たち、祖国インドネシアの発展を情熱的に歌い祈る「レゾナンツ少年少女合唱団」
私の後悔
昔は、利益第一主義、面倒は避ける、仕事は生活の為、差別意識を持った指導と間違いだらけの私でした。今ではとても後悔しています。
いつか実現したい
©写真:大木啓至 Yoshiyuki Oki
(アウローラ・ウインドオーケストラの2021/5/3の演奏会より)
「生まれ変わったら、早くからピアノと作曲を学び、また指揮者になって関わった人たちを笑顔にしたい!」と思っています。人を幸せにするにはまずは心からの願いが大切、そしてそれに伴った技術が必要。今はこの世の一隅ではありますが、関わった人たちの幸せを願って頑張ります。
御礼
何人ものかつての教え子たちに、この「音楽を支える」プロジェクトを支援してもらっています。「輝きの音楽サークル」の貴重な発想は、彼らから学んだものです。彼らに苦労をかけてしまったからこそ、その後悔のおかげで私は今こうして成長することができました。本当に感謝です。まだ道半ばですが、これからも音楽を通して関わっている社会の為に、精一杯尽くして参ります。
皆様、最後まで読んで下さりありがとうございました。