楽器のお話 -その3-
vol. 6 2022-05-27 0
みなさま、こんにちは。
段々と気温も湿度上がり、夏の気配が近づいてきましたね♫
おかげさまでプロジェクトも、目標金額の40%を達成いたしました!
これまでにご支援頂いた方々、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
さて、前回のアップデートでは「次回は弓と松ヤニについて」と予告したのですが、もう少し楽器についてお話しようと思い、今回は「楽器のお話 -その3-」をお送りします。
前回までで、「コントラバスは擦弦楽器であるものの、ヴァイオリンとは違う祖先らしい」ということや「どうも弦の本数が違ったり、複雑な遍歴がある」ということを知っていただけたと思います。
「弦が3本だったとか言っているけど本当...?」や「そんなの見たことないぞ」とお思いの方もいらっしゃるのかな...などとふと思い、そのあたりについて触れていこうと思います。
百聞は一見にしかず、ということで
楽器のチューニングマシン(糸巻き)部分 赤枠に3弦の名残が
上記の写真2枚は私が使っている楽器(1872年製)のヘッド(一番上の部分)ですが、製作当初は3弦の楽器だったものと思われます。というのも、赤枠で囲った部分、3箇所に穴を埋めた形跡があるのです。ここには古い糸巻きがついていたと考えられます。
通常、弦楽器はネック(上の写真に写っている範囲より下から胴体の部分までの間)と呼ばれる部分を交換することがあっても、ヘッドはオリジナルのものを残して、つなぎ合わせるのです。つまり、オリジナルのヘッドに3つしか糸巻きがついていなかったということは、弦も3本しかついていなかったと思われます。
ちなみになぜ、1872年製とわかるかというと、楽器の中にはラベルと呼ばれる、製作者や製作年を書いたシールが貼ってあるのです。
弦楽器にはこのようなラベルが内部に貼られている 1872年にパリで作られたと書かれている
そうはいっても、弦が3本の楽器なんて見たことないし、という方、こちらを。
上は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のエディクソン・ルイス氏が弾く3弦コントラバスの動画です。ちなみに彼の楽器は4弦の楽器なのですが、時と場合によって、最低弦を1本減らして3弦で演奏しています。弓も特殊なものですが、それについては弓の回にお話します。
3弦のコントラバス、なんとなくわかっていただけたでしょうか?
そして、今回もう一つお話したいのは、実は楽器で接着されている部分は意外と少ない、ということです。
こちらの衝撃写真をご覧ください。
弦がつながっている黒い物体はテールピースという部品
割と衝撃的なビジュアルですが、楽器の中でちゃんと接着されている部分は、胴体の箱部分とそこからつながるネック、ヘッドぐらいということがよくお分かりいただけると思います。あとは弦の張力などによって、支えられています。
写真の中、テールピースの横にある白いものが、駒と呼ばれ、弦を支えるとともに、その振動を楽器の胴体部分、表の板に伝えます。
この写真はその駒がちょっとしたアクシデントで倒れ(普通は簡単には倒れません)、ばらばらになってしまった瞬間です。強調しますが、普段は起こらない現象です...
ちなみに、駒は楽器の表板に振動を伝える、と書きましたが、楽器の中はこんな感じです。
私の楽器にはなぜかラベルが2枚貼られていて、この写真に写っているラベルは修理をした際のものです。
そして下側に写っている白くて丸い棒は魂柱(こんちゅう)と呼ばれ、表板からの振動を裏板に伝えたり、その他にも様々な役割を持っています。魂という名前がつくだけあって、魂柱の位置が0.1ミリでもずれただけで、楽器の鳴り方や弾きやすさが全く変わるものなのです。何とも不思議ですね。そして、魂柱もまた、接着されていないので、表板にかかる圧力が弱まる(=弦を緩める)と簡単に倒れます。
と、今回は大変長くなってしましましたが、こんなところで。
次回こそは「弓と松ヤニ」のお話をしたいと思っています!
それではまた。