ALMA MUSIC BOX制作裏話
vol. 5 2015-04-17 0
皆さま、こんにちは。プロジェクトメンバーの林口です。
本日は、「ALMA MUSIC BOX制作の裏話!?」をお届けいたします。
「アルマ望遠鏡」について、より広く多くの方に知っていただくためにアートの視点から表現してみようと考えた時、数多くのクリエーターの中からお声がけしたのが、PARTY NYの川村真司さんでした。最新のテクノロジーを使いながら、感情を揺さぶる作品を作れる方だと評価していたからです。とは言え、「アルマ望遠鏡を使ってアート作品を」という漠然としたお題に対し、川村さんも最初は戸惑われたのではないかと想像します。
そんな川村さんから、今回の「ALMA MUSIC BOX」に至るまでの試行錯誤についてお話をうかがいました。
(川村):実は、最初から「ディスクオルゴール」を作るというプランを提案していた訳ではありませんでした。そこにいたるまでに、10案くらいの全く違うアイデアをプレゼンさせていただきました。
アルマ望遠鏡という存在やそれが捉えるデータをいかに科学に詳しくない一般の人に興味を持ってもらうか。そのために、科学畑出身ではない僕らが携わるからには、普通の常識では考えないような敢えてギャップを感じるような手法を用いたいなと考えました。最初はそれがちょっと意識しすぎてしまった気がします(笑)。
例えば、展示会場で観客がルームランナーに乗って走り、自身が光の粒子となってアルマ望遠鏡の観測限界である宇宙の果てまで移動していく「Running to the beginning of space」。
©PARTY [Running to the beginning of space]
66台のパラボラ型望遠鏡がシンクロして観測する「アルマ望遠鏡」の特徴を、66人のダンサーのパフォーマンスによって表現する「ALMA Dance」など。
このように、あまり科学の展示では観ないようなエンターテイメント性を重視したアイデアがたくさんありました。これらはまた別の機会があれば実現したいね、と話しています。
@PARTY [ALMA Dance]
けれど、「アルマ望遠鏡の実際の観測データを活用する」「五感で体感できるもの」という両方の条件をより満たすようなアイデアをと林口さんや平松さんからお願いされました。そうしてたどり着いたのが、「ちょうこくしつ座R星」のガスが噴き出した丸い形のデータから着想した「ディスクオルゴール」を作るというアイデアだったのです。丸いデータの密度が高い部分に穴を穿ち、それをオルゴールにそのままかけてみたらどんな音がするのだろうと思ったのがきっかけです。ランダムな音の羅列でも、ディスクオルゴールならばループしているから聞けば聞くほどちゃんとした音楽に聞こえてくるんじゃないかと考えました。またオルゴールというクラシカルな楽器を駆使してアルマ望遠鏡という最先端の科学を体験できるというギャップも面白いなと。
ALMA MUSIC BOXを組立てる、チームメンバーのJamie Carreiro(PARTY NY)
そこから音の専門家の澤井さんはじめQosmoの皆さんがデータ変換のアルゴリズムを作って下さり、PARTYチームでは体験全体のデザインとオリジナルのオルゴールを制作しました。オルゴール盤も含め、全て社内でオルゴールを分解研究しながら1から作り上げました。
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今回のプロジェクトでは、ミュージシャンの方たちがさらにこれらの旋律を使ってどんな楽曲を制作して下さるのか。皆さんと一緒にその音楽をぜひ共有したいと思っています。どうか、その実現に向け引き続きのご支援・ご協力をいただきますよう、お願いいたします。
ALMA MUISC BOXプロジェクトメンバー・林口砂里