震災から14年 “愛子さん”のこと ②仮設住宅に移って
vol. 6 2024-12-09 0
東日本大震災の後に石巻市で建設された仮設住宅は約7,000戸。16,000人もの方が不自由な生活を余儀なくされた。被災自治体の中では最も多かった。地域ごとの振り分けにならなかったため、今までのコミュニティーとは違う形になった。
地方の街はみなそうだが、石巻は車社会。自転車に乗れない徒歩の高齢者の生活は、かなり不便だった。愛子さんは、比較的早く抽選にあたり、仮設住宅で一人暮らしを始めることになった。愛子さんが仮設住宅に暮らしは7年に及んだ。
愛子さんは、本当にいつも喋っている人だった。同じ仮設住宅に住む方にいつも声をかけていた。飼っている犬にも話しかけ、いつの間にか居着いた猫の世話もしていた。猫には、花の中にいたから「花」と名付けた。愛子さんが「花」に話しかけると必ず応答した。また、仮設住宅の建物の間の通路にプランターを並べて様々な花を植えて楽しんだ。水を上げるときに、花にも一声かけていた。もしかしたら私がいるからそうしているのかなと思い、隠れて盗み見したことがあるが、やはり愛子さんは話しかけていた。