国分寺の絵本&カフェ「おばあさんの知恵袋」を訪ねて
vol. 16 2021-06-26 0
村上春樹さんの聖地としても知られる絵本専門店に『ぼくはひとりで』を置いていただきました
今日は、『ぼくはひとりで』が読める/購入できる絵本専門店をご紹介します。
JR国分寺駅南口から徒歩3分ほどの場所にある「おばあさんの知恵袋」。
不思議な店名と、ちょっと人目につきにくい半地下にある隠れ家のような店舗は、まるで絵本の世界からそのまま抜け出してきたかのようです。
木のぬくもりとジャズのBGMが心地よい店内には、主人の三田村慶春さんが選び抜いたとっておきの絵本およそ2000冊が棚いっぱいに並んでいます。日本の絵本と児童書が中心で、ヨーロッパをはじめ世界各地の言語で書かれた美しい絵本も置かれています。ここは「絵本カフェ」なので、おいしいコーヒーや紅茶を飲みながらゆっくりと本選びを楽しむことができます。
書棚を眺めながら三田村さんと雑談していると、話題に合った本を次から次へと取り出しては見せてくれました。どれもが興味をかきたてられる本、子どものころに大好きだった絵本、いつか見かけて気になっていた本ばかり。会話がどんどんふくらみ、時が経つのを忘れてしまいます。特に、20年以上前に私がアイルランドで買って大切にしているものとまったく同じ「ケルズの書」という写本の図録を取り出して見せてくれたことに非常に驚きました!
会話の中で、その人に合った本が瞬時にひらめくのですね。たくさんある蔵書の中からパッと見つけ出してくださることにも感動しました。
店主の三田村 慶春(みたむらよしはる)さん
三田村さんは「おばあさんの知恵袋」を営むかたわら、絵本・童話作家・翻訳者としても活動されています。また、語り手および絵本・昔話研究家として執筆や講演を行い、「大人のための絵本の会 ビブリオ・パドル*」も開催しています。
*おすすめの本を書評し合う「ビブリオ・バトル」ならぬ可愛らしい響きの「ビブリオ・パドル」。好きな絵本を持ち寄って一緒に読み合い、聞き合うことを楽しむ会だそうです。
「絵本とおはなし おばあさんの知恵袋」の看板の下にいまも残されている「家庭料理 船問屋」の看板
以前は同じ場所でドイツ料理店「船問屋」を営まれていたというお話にも引き込まれました。
三田村さんがそのドイツ料理店を開くさらに前、同じ界隈で小さな書店の運営を手伝われていたときのこと。「この近くでジャズ喫茶を開きたい」と訪ねてきたのが、作家・村上春樹さんご夫妻だったそうです。翌年の昭和49年5月、はす向かいのビルの地下にジャズ喫茶「ピーターキャット」をオープンした村上春樹さん・陽子さんと三田村さんは連日のようにお互いの店を行き来し、一緒に旅行するほど親交を深めていたそうです。
当時の貴重なお話を聞くことができる「絵本&カフェ おばあさんの知恵袋」は村上春樹さんゆかりの聖地としても知られ、はるばるアメリカから訪ねてきたファンの方もいたとか。
私も高校生の頃から村上春樹さんの小説の大ファンでしたので、昨日は三田村さんからいろいろなお話を聞き、帰り道もずっと興奮気味でした。
国分寺を訪れる機会があればぜひ「おばあさんの知恵袋」でゆったりとした時間を過ごされてみてはいかがでしょう。
<絵本&カフェ おばあさんの知恵袋>
東京都国分寺市南町2-18-3 国分寺マンションB-03A
Tel: 042-324-2708
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「絵本を読んでアジアの子どもたちを応援しよう!」
クラウドファンディングは残り6日間となりました。
引き続きお見守りください。