誕生日に強盗に遭遇した話 (本の原稿、少し公開 #4)
vol. 8 2021-05-01 0
中南米は治安が悪い悪いとはよく言われてるし、ネットを開いたり、他の旅人の話を聞いたりすれば、沢山の被害者の声も聞いたりする。
これに関しては・・・ある程度の危機管理能力と君子危きに近寄らなければ危険な目に会う確率をかなり下げることはできるけれど、いくら注意をしていようと防げないものもある。逆にいくら注意散漫で危機管理力がない人でも運がよければそういう危険に遭遇しない事だってある。
はっきり言って僕は生まれてからその時まで、バックパックの盗難やカメラをスられたりの軽い犯罪には遭遇はしたことあったけれど、それ以上の凶悪な強盗だとかそういった類のものに遭遇したことは一度も無かった、だからだろうけどそういった危機感というものを感じたことが無かった・・・どんな危険な目にあったとか言う話しは他から聞いたといても自分の身には起こらないものだと勝手に決め付けてた、それはただ単にそれまでは運が良かっただけ。
僕はその時・・・その世界一周の旅始まって以来、初めての危険を体験した。
中米、グアテマラで6週間のスペイン語留学をしていた時の話。
12月24日、スペイン語学校でのクリスマスパーティーの後、二次会で学校の友達に誘われいつも行きつけのお店に集った。中南米にはそう言う場所が社交の場となっている。ビリヤードができる、ラテンアメリカの音楽のノリノリで流れているバーに行きそこそこ酒も飲んで気分よくなり・・・
日付も変わり、12月25日。ちなみにそれは僕の26歳の誕生日だった。世界一周を始めて海外で二回目の誕生日
『フェリスコンプレアニョ〜(誕生日おめでとう!!)』と祝ってもらい、そのまま気分よくなって、そこそこ時間も遅くなってきたんで仲間達に挨拶をして岐路についていたところ・・・事件は起きた。
夜中の帰り道、ひとりで・・・いい感じで酒も回っていて、ノリノリでバーで流れてた曲なんかを下手くそなスペイン語で口ずさみながら陽気に夜道をフラフラしながら歩いていたら・・・・・
(ここで一つ、なぜそんな時間に治安の悪い国で一人で歩いていた言い訳をしておくと、初めてグアテマラにきたときは警戒レベルマックスで、ほんのちょっとのバックパックでの小移動でもタクシーを利用するくらいだったけれど、実際に住んでみると、なにも危険なことは起こらない、だから、完全に油断していたのである。まさに平和ボケしたマヌケである)
・・・・・・
なんといきなり、暗闇の中から二人組みが襲い掛かってきた・・・・一人は僕の首を絞める
もちろんそんな事態を予想できなかった僕はいとも簡単にやられ、そして思うがままになぎ倒される、そして倒れてる僕に対しそのまま首を絞めて気を失わせようとしてくる
もう一人は僕に対し何発も何発も顔面、そして体中あちこちぶん殴ってくる
もちろん酔っ払っていたので、最初の瞬間は何が起きてるのか理解できなかった。思うがままに首を絞められ、なぎ倒され、そして何発も殴られ・・・
5~10発くらい殴られた後に意識がシラフに戻り、事態が理解できた!!
そうか!!こいつら強盗だ!!しかし気づいた時にはもう遅い、最悪の劣性。苦しい・・・・息ができない・・・・気を失いそうだ。
完全に腕が首に食い込んでしまっている以上、これ以上あごの力を緩めたりしたら完全に気を落とされてしまう・・・だからひたすらアゴに力を入れて、それにひたすら耐えるだけでいっぱいいっぱいだった・・・
そして一人は殴るのをやめてこちらのポケットに手を突っ込んできた・・・・
ここで自分でもビックリしたことが起こった、僕は格闘技なんてほとんど知らないしケンカもほとんどしたことがない。
普段はボーっとしてる僕でもそういった緊急事態は、そのすべての出来事が自分にとってスローモーションに感じれた。そして何故かいつも以上に頭が働く・・・
もちろん、旅には危険なこともあるだろう。こういう事態に当たりどう対処するか・・・ある程度の想定はしていた
・相手が銃を持ってたりしたら土下座して全財産を差し出す
・相手が刃物などを持っていたら鍛えた足で全速力で逃げる
今回、首絞めとぶん殴ってかかってくるって事は銃だとかナイフなんだとかはもってないって事だよな??そして相手は2人、、、
と考えれるくらい何故か頭は冷静だった。
そして・・・
ポケットの中には・・・小さいカメラと財布が入っている・・・・財布の中には2000円程度しかないけど・・・
いずれにしても・・・頭にきた、そう簡単にやられてたまるか!!!!!!
→たたかう
にげる
(これ、決して正しい判断ではありません、全力で逃げるか有り金全部出して許してもらうかが最適解です)
さっきまでひたすら殴ってきていた一人には渾身の蹴りを入れた・・・
僕の背後から首を絞め続けてる奴には渾身の一撃のアッパー(いやその態勢から言えば右フックか??)をかます。
完全に背後を取られてるからどこに顔があるかわからなかったけど、勘で思いっきりぶん殴ってみたらどうやら命中したみたいだ(喧嘩や格闘技なんてやったことないのに)
すると・・・首絞めの力が一瞬だけ緩む・・・その隙を逃さずに首絞めを解き払って、速やかに立ち上がり、十分な間合いとファイティングポーズを取った!!
『Came on!!』
さあかかって来い!!二人まとめて相手になってやる!!(バカ、そんなことやってないでさっさと逃げろ)
と、殺気立っていた僕はカッとなって一瞬だけそう思ったけど
こういう緊急事態ってびっくりするほどスローモーションに感じていつも以上に思考力が働くもので・・・
相手は・・・対して大柄ではないが・・・たったの二人・・・
こちらは一人・・・しかも酒を飲んでいるから戦っても半分の力くらいしか出せないだろう・・・というかほとんどケンカの仕方をしらない・・・
しかし、ここで後の被害者が無いようにするためにも戦い、還付なきまでに叩いて成敗して終わるか、、、(だからそんなこと考えないではやく逃げろってバカ野郎!!)
それとも自分の命を守る為に速やかに逃げるか?
たたかう
→にげる??
距離をとったあと・・・・しばらく見つめあう・・・
対面しているその時間は実際には10秒もないくらいだったと思うけどおそらくアドレナリンが出まくっている僕にとってはその一瞬がもの凄い時間に感じたしその状態でいろいろと考えることも出来た
そして、しばらく見つめあった後、あきらめたのかどうやら奴らは走り去っていってくれた・・・・
すべてが過ぎ去った後シラフになってみると。
首が痛い・・・・そして顔面あざだらけだ・・・・そして悔しい・・・アドレナリンが解放されたその日は朝まで眠ることが出来なかった、、、
なんという誕生日プレゼントだ。
治安が悪い悪いといわれているのに対し、自分の身には一切そういう危険が訪れたことが無かったから自分には起こらないものだと、安易に考えていた・・・
夜遅くに人通りが無いところを一人で歩かない・・・・コレは旅行者にとって当たり前のことなのに、慣れ過ぎによる注意力不足、危機管理能力が完全にマヒしていた・・・・
でもコレは考え方次第ではラッキーだったのかもしれない
酔っ払ってたとはいえバックパックとか特別に荷物も持ってなくて身軽だったこと、複数とはいえ二人だけだったし、二人がかりで酔っ払い1人を奇襲してもちゃんと仕留められないレベルのチンピラだったこと、ボコボコにはされたけど、特に何も盗られてないし、僕が完全に注意力不足で甘かったということを実体験として学べたこと、そのくらいの怪我ならまあすぐ治るだろう。
その後の旅で自分の身を守るためのいい勉強になった。
強盗にあった次の日、ホストファミリーに励まされてた時の写真