初めて全裸で自転車にまたがり町中を走り抜けた日 (本の原稿少し公開 #2)
vol. 6 2021-04-27 0
歴史的な建物と近代的なビルと美しい風景が見事に調和する街、超インターナショナルで多様性が認められる居心地の良い場所。それは世界一住みやすい都市としても名高い。
カナダワーホリでしばらくバンクーバーに住むことになった。
世界一周をやるのはいいけど、やっぱり英語できない状態ってのはキツい・・・・(まあ英語なんかできなくても旅行はできるけれど)英語できないってのはそれだけ海外で出来ることや人との交流や学びの量が減るってことなのでもったいない。だから世界一周の序盤でしっかりと居を構えて英語圏に住む、そして英語をみっちり鍛えてから旅をしようと思った。今だから言えるけれど、はっきりいってこの思惑自体は大正解だったと思う。
主に英語留学をするのに人気な国で言えば物価の安いところではフィリピンやフィジー、そして英語圏であるアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど、僕は場所に特に強いこだわりがあったわけではないこともあり、人の縁があり、たまたま沖縄で仲良くなったバンクーバーに住んでるSteveにすすめられてここを選んだ。
だから必然的に東周りの世界一周ということになった。
定められたレールではなく自分の足で人生を歩くということは、そうやって右に行くか左に行くかで出会う経験によってその後の運命が変えられることがよくある。
もしかしたらその時に彼とであっていなければ西回りになっていただろうし、そうなると出会う人も全然違っていたと思う、つまり全然違う人生になってたかもしれない。
さて、貧乏旅行者であるわけなのでエージェントなど介さずにワーホリビザを申請したものなので。そしてカナダに到着後、何をどうするべきなのかもよく分かっていなかった。
とりあえず、バンクーバーについてSteveに再会してしばらくたってからは、ワーホリっ子に慣れているホストマザーを紹介してもらい、郊外の高級住宅街の快適な家にホームステイをすることになった。
留学だとか海外ホームスティなどにあこがれていた僕にとってそれは何もかもが新鮮な体験、旅行ではなく生まれて初めて海外に住んでいる感動。
しかし、思ってたのと少し違ったワーホリ生活・・・・
というのもホストファミリーには何も不満はなかったけど、息子はガールフレンドに夢中な年ごろの男の子で僕の相手なんて全くしてくれない。
ルート66を横断し、ハーレーに乗って荒野を駆け巡って(事故ったり)アメリカを数か月放浪した後のワーホリであるわけであり、サバイバルブローケンイングリッシュは問題なかったけれど、それだけでは僕の英語は3歳児以下だった。
つまり、仲よく時間を過ごせる同世代の相手っていうものがいなかった。
これはちょっと寂しい・・・・
そんな時、ある日ホストマザーがいきなり言ってきた。
『今日はダウンタウンで変なイベントやってるよ、たくさんの人が全裸で自転車に乗って走ってるよ』
ほぅ、なんかそう言うの、海外のヘンテコなイベントとして日本のテレビで見たことあるな、と興味本位で冷やかしに見に行こうと思った。
しかし、もともとは冷やかしのつもりだったんだけど、現場に到着するや否や結局自分も参加するノリになってしまった。
本来のワーキングホリデーの意義とは
『相互に文化を理解しあい、幅広い視野を持った人間を育成すること』
その国のイベントにも積極的に参加して文化を理解することが大切だと思ったから・・・・・
そして、ここで白人様の堂々とした態度に尊敬の念を抱くようになった・・・・そんなに裸に自信があるのか??一部のヌーディズム文化の人達だけだとは思うんだけど若い女性も何のためらいも無く脱いでる・・・・全裸の老若男女が辺り一面を埋め尽くす、日本では見られない光景に戸惑いを感じたけれどそれがただ面白かった。
そこで野次馬のように写真をとりに来たアジア人、いかにもワーホリっぽい子たち、それを見ると何故か同人種として恥ずかしくなってしまい、自分はそんなかっこ悪いカメラ小僧にはなりたくないので、全裸になって参加することを覚悟した。
もちろんバンクーバーにも日本人留学生たちもたくさんいる。中心街を歩けばやたらと日本語聞こえてくる。海外で日本人に出合うと、お互いの立ち振る舞いを見ただけですぐに日本人同士だとわかるものであり。それはある意味うれしくもあり、恥ずかしくもあり、なんとも言えない感じ・・・だからその場で全裸になっている日本人なんかを見るとすごく目立っていたんだと思う。
『マジっすかー。すげー、気合ありますね~。僕らにはそんな勇気無いですよ〜』
と、笑われながら、ネタにされてるのか称賛されてるのかよくわからない感じで写真を撮られる。そしてみんなでボディペイントしあって準備が出来た後はバンクーバー市内を自転車走り出す。ちなみに警察公認で一緒に着いてきてくれた
天気は最高に良くて「less gas more ass!!」と叫びながら、海沿いを、街を、教会の結婚式披露宴の前を全裸軍団が走り抜ける、そもそもこの人たち環境保護を本気で訴えてるのかどうかは疑問、ただノリで全裸になりたいだけでやってるだけのように見える。
異様な光景、だけど何故かエロさも恥ずかしさも感じない。途中で集団から離れ、一人で裸のまま自宅へ帰るというたくましすぎる女の子もいた。
それから市内を一周し終わったらみんなでビーチに集い、カナディアンジンジャーエールで乾杯!!!
そのままみんな全裸で海まで走り出す、初めて見る光景、、、あまりにもカルチャーショックがでかすぎた。
でも、このイベントをきっかけにその後のバンクーバーの生活において友達が増えていったんだった。
長い長い旅をすると決めたんだから、せっかくなら自分の心の鎖も断ち切り、色んなことを体験してみる、なかなか受け入れられないかもしれない異文化にも挑戦してみる、そして時には自然体で流れに身を任せてみる、こうやって身も心も裸になればどんなに楽になり楽しいことか、その日をはじめとして多国籍のカナダで、ワーキングホリデー中ではたくさんのカルチャーショックを経験していった、そうやって頭の中は柔軟に、シンプルになっていったものだ。