【応援コメント10】日本酒サロン粋店主・文筆家堀香織さんからのメッセージ
vol. 12 2025-10-29 0
日本酒サロン「粋」の店主で文筆家の堀香織さんから応援コメントをいただきました。
コメントの中でも触れられていますが、堀さんはかつて日本酒BARあさくらでバイトをしてくれていたことがあります。
人に興味を持ち、人をつなげることも、自らつながることも大好きな堀さんは、多くの方々――特にライターや出版業界の方々――を店に連れてきてくれました。
そのおかげで、あさくらの世界がぐっと広がったと感じています。
(前回応援コメントをくださったさとゆみさんも、実は堀さんのご紹介です。)
実はこのクラウドファンディングを始めるにあたっても、堀さんにはいろいろと助けてもらいました。クラウドファンディングの立ち上げは思っていた以上に大変で、途中で「もうやめてしまおうかな」と投げ出してしまいそうになることもありましたが、そんなとき堀さんが励ましの言葉をかけてくださり、手を差し伸べてくれたおかげで、ここまで走り切ることができ、100%達成という成果につながりました。
本当に心から感謝です。
ストレッチゴール目前のこのタイミングで応援コメントをいただけるのはとても心強いです。
いよいよ明日で終了ですが、皆さま最後のご支援よろしくお願いいたします。
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自分の54年の人生において、「師匠」はふたりいる。ひとりは私に「書き手」という扉を開けてくれた、雑誌『SWITCH』の編集長・新井敏記さん。もうひとりが、「日本酒」の扉を開けてくれた、日本酒BARあさくらの朝倉康仁さんだ。
出会いは2022年1月16日。当時私は鎌倉住まいだったが、前年暮れに「そうだ 京都、住もう。」とコピーライトのもじりのようなことを思い立ち、京都に物件を見に来て部屋を決め、夜に友人のライター2人と写真家と4人で食事をした。そのとき、ライターの女性が「ホリさん、京都に住んだらいちばんに何したい?」と尋ねるので、私はこう答えた。
「大学時代から酒場でバイトしていて、歌舞伎町から銀座まで働いたから、残すところは祇園かなと(笑)。祇園の日本酒バーでバイトしたいなあ」
すると彼女が「祇園じゃないけど、木屋町にいいお店知ってる。店主が本好きで、酔読会(すいどくかい)という読書会も定期的にやってるの。アルバイトは募集していないかもだけど、ホリさん、絶対に気にいると思う」と言って、案内してくれたのだ。それが「日本酒BARあさくら」であり、引っ越し後は私のオアシスとなり、のちに金曜日にアルバイトをする場所になった。
さて、冒頭の話に戻ろう。そのふたりの師匠にとって、私は「弟子」だろうか。
新井さんは弟子かもしれない。6年ちょっとの会社勤めの際に、私は何度も新井さんの取材に同行し、テープおこしをし、完成した原稿を確認した。自分の拙い原稿に赤を入れてもらうよりもはるかに、この一連の「師匠の型を何度もなぞる」という行為は、学びが大きかった。その型を一生懸命に真似るなかで、私はライター・編集者として成長したし、自分らしい方法論をのちに会得していった。
朝倉さんにとっては、これははっきりしているけれど、弟子ではない。週1のバイトは2年続き、私はその間に朝倉さんから一方的にたくさんのことを学んだが、何一つ同じことはできなかった。日本酒の知識、日本酒の勧め方、心理学や哲学、そして教養に裏打ちされた深い会話……。私は朝倉さんの型を真似ることができなかったので、代わりにたくさんの酒飲みの友人を「あさくら」に招いた。それが唯一、できることだった。
いま、「あさくら」から徒歩6分のところで「日本酒サロン 粋」という店の店主をしていて、(酒販免許も取得した)朝倉さんから日本酒とクラフトビールを仕入れさせてもらっている。その日本酒やビールを「美味しい!」と言って飲んでくれるお客様を見るにつけ、私は「でしょでしょ、だって朝倉さんの目利き、いや、舌利きだもん」と得意になる。
だから朝倉さんはこれからも私の「師匠」だし、この先10年も北極星のように頼りにしている。朝倉さん、20周年、本当におめでとうございます!

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