制作日誌#2|「違和感」をつくること
vol. 5 2024-09-22 0
みなさんこんにちは!
映画「STRANGERS」を広く届けていくためのクラウドファンディング、残り日数も4日間となりました!目標まであとわずか!77,500円で達成です。最後まで、引き続きご声援いただけますと幸いです。
本日は池田監督による制作日誌#2をお届けさせていただきます!
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『STRANGERS』という映画をつくる上で意識をしたのは「違和感」でした。
撮影については、クランクインのずいぶん前からカメラマンの佐々木靖之さんと話し合いを初めました。
脚本がある程度固まった段階で、どう撮るかはなんとなく頭の中にあるものの、はっきりとした言葉にできる状態にはなかった。一方、私も佐々木さんもせっかく映画を作るのであれば、何かチャレンジをしてみよう、というところは一致していました。
映画としての緊張感を持ちながら、同時に、画面を見ることそのものに違和感や不安を覚えるようなものを作ることができないか。語り口として主観的であると同時に、客観性をもったものができないか、ということを軸に、対話を重ねていきました。
佐々木さんはシーンの理解度が高く、映像でどのように話を構成し物語るのか、それが頭の中で描けているカメラマンだと思います。
しかし今回やろうとしていることは、佐々木さんもやったことがないこと。
はじめはお互いに、各シーンのカット割を考え持ちよったところから話し合いが始まりました。が、ある時点でこれは違うかもしれない、とほとんどすべてのシーンを白紙に戻し、一から作り直すことになりました。
私の方は、なんとなくやりたいことは頭の中にぼんやりと描けているものの、なかなか言葉にできない。しばらく進展のないまま、もやもやとした時間が過ぎたある日、打ち合わせを終えて家に帰ると、佐々木さんから「池田くんが言っていることってこういうこと?」と、テキストが届きました。そこには「間主観性」という言葉があり、こんなような意味のことが書かれていた:「主観」というのは単独に機能するのではなく、意識する「わたし」と、意識された「世界」と相互作用的に機能している。誰にとっても平等な客観的世界というものは存在せず、複数のわたしたちの主観が、たがいに絡みあい交錯しあいながらはたらいて、「共に」機能し、共通な世界を成り立たせている。
すぐに佐々木さんに電話をして「そうかもしれない、そうです」と興奮気味に話しました。
佐々木さんはいつもノートに、すべてのシーンの図面を引いているのですが、一度書いたカット割の一つ一つを消しゴムで消し、書き直していた。申し訳ないと思うと同時に、そこに何かが生まれはじめているのを感じた。そしてこれを形にしなくてはいけないと強く思いました。
この話し合いは毎日のように駅前のファミレスで何時間も、撮影前はもちろん、撮休の日や撮影中の中空き時間までおこなわれました。
「間主観性」というものが、実際にどう映画の出来上がりにあらわれているのか、それはわかりません。が、二人の中で、ようやく何かしらのとっかかりを見つけたのは確かです。この濃密な時間を過ごしたことが、この映画の独特といわれる空気感や、見たことのない映画と言われる理由につながっているのではないかと思います。
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最後までご声援のほど、よろしくお願いします!
映画「STRANGERS」制作チーム