ヒマラヤ物語-4 シェルパの存在
vol. 8 2024-04-06 0
ヒマラヤの登頂やトレッキングに欠かせないのが荷役を請け負うシェルパの存在です。彼らの多くは高地に住むため、高所での運動に優れています。また、エベレストなどの登頂をサポートする山岳ガイドの多くもやはりシェルパ族の出身者が多数を占めています。
また、見落とせないのが彼らの人間性や性格です。寡黙ですがよく働き、内気な性格ですが心の優しい人たちが多いと感じます。そんな彼らと息が合ったとき、登頂やトレッキングの目的を達成できるのです。言葉は通じませんが、私のトレッキングを支えてくれるポーターたちは私の気持ちをよく理解してくれます。そんなこともあり、毎年雇うガイドやポーターはできる限り同じメンバーをそろえることにしています。
シェルパ(ポーター)の仕事は荷物を運ぶだけではありません。常にトレッキングを先行し、目的地に到着すると、先ず水場を見つけます。そして私が到着する前にテントを設置し、食事の準備を整えます。場合によっては周りの石を集め椅子やテーブルまで用意してくれることもあります。また、水量の多い川では冷たい水の中に入り、川底の石を並べ簡易な橋を架けてくれることもありました。
写真 先行してゴーキョへ向かうポーターたち(標高4700m付近)
テントで数日間過ごす場合は彼らの荷運びはなくなります。そんな中、時々彼らの姿が見えなくなることがあります。数時間後、姿を現すと私に花の咲いている場所を報告してくれるのです。なんと、周辺の山や谷を歩き回り私のために花を捜してきてくれたのでした。彼らの視力はたいへん優れていて、遠くからも小さな花を見分けることができます。シェルパたちは私の手となり、足となり、そして目となって私の撮影を支えてきてくれました。(以下は「天空の記憶」に書いたシェルパの記述です)
天気が良いとポーターたちの足取りは軽い
ポーターの多くは農家である。
1日1500円の現金収入は彼らにとって貴重だ
ある日休憩時に飴を配った。
ところが誰も食べようとしない。
子供たちの土産にと懐に貯めていたのである
だから
寡黙で忍耐強く心優しい
彼らの日当を値切ろうとは思わない (天空の記憶50ぺーじより)
【写真】 一年ぶりの再開、左手前からコック、ガイド、右手前から3人のポーター、右奥はロッジのオーナー。日本から持参したウイスキーで再開を祝し、ささやかな宴を行った。