ヒマラヤ物語-2 エベレストの撮影地
vol. 5 2024-04-03 0
長年の夢が叶い、カラパタールにたどり着いた私はようやくエベレストを撮影することができました。しかし私の場合はそれで終わりませんでした。 カラパタールからの撮影に満足できなかったのです。 私のイメージしていたエベレストを捉えきることができませんでした。それからエベレストのビューポイント探しが始まりました。 次に訪れたのはゴーキョピークですが、そこでも満足できず、とうとうヒマラヤの最奥地 まで足を伸ばすことになってしまったのです。
写真 ゴーキョピークからの展望 中央がエベレスト 8,848m
エベレストの展望地ゴーキョピークは標高五千三百メートルです。 しかし、この時目指したフィフスレイクは五千メーターしかありません。 そこから本当にエベレストを見ることができるのだろうか。 そんな疑問がフィフスレイクに到着するまで、私の脳裏でくすぶり続けていました。
そして氷河湖の東にあるモレーンを登り上げると、その疑問は一気に晴れました。 ゴズンバ氷河の支流がエベレスト方向に伸びており、その谷間の奥にエベレストが鎮座 していたのです。私はなるほど、と思いました。 地図上では中間に六千メーターの山があるのですが、その隙間から見えていたのです。
その日の午後、私はモレーンに上り、夕方まで写真を撮り続けました。日没後、周辺の山々から光が消える中、エベレストの山頂は更に赤く染まっていきました。その時、私は世界でたった一人、エベレストの独り占めを神々から許されていたのです。
写真 夕日に染まるエベレスト 撮影フィフスレイク標高 5,000m