ヒマラヤ物語-1 カラパタールからの眺め
vol. 4 2024-04-02 0
1.カラパタールへの道
今回からプロジェクトの進行状況だけでなく、ヒマラヤについてお話ししていきたいと思います。その最初はエベレスト街道の終点地カラパタールです。カラパタールは世界の最高峰エベレスト8,848mの展望地として有名です。世界中のトレッカーが一度は訪れてみたいと憧れる場所でもあります。私はエベレストを撮影するため、ここを訪れました。
以下は拙著「天空の記憶」からの抜粋です。
なぜ、人はカラパタールを目指すのか。 そこからエベレストを眺めるため、それだけなのだろうか。山頂の標高は 5,550メートル、そこには黒い石と希薄な空気しかない。
登頂は高山病との戦いである。 加えてヒマラヤの天候は過酷だ。 雨期の夏は冷たい雨が降り続き、乾期の冬は寒風にさらされる。 それでもトレッカーたちはひたすら道を歩き続ける。
何が人をそうさせるのか。「人はパンのみにて生くるものにあらず」というが、人とは奇妙な生き物である。 腹が膨れても満たされぬものがあり、人は更に高みを目指す。
ある者は挫折を味わい。
ある者は歓喜に涙する。
そしてある者は帰らぬ人となる。
自らの命と向き合うために、カラパタールを目指すトレッカーは絶えることがない。」
(天空の記憶8ページより)
写真 ゴズンバ氷河沿いにある5,550mのピークを目指すトレッカー
2.カラパタールからの眺め
カラパタールはルクラを出発後、およそ一週間で到着します。 標高は 5,550メートル、後半の道中は高山病との戦いです。 ここまで体調を崩さずにたどり着くことは至難の業です。 それだけに、山頂からエベレストを見たときの感激は言葉に尽くしがたいものがあります。 大きな達成感とともにヒマラヤの圧倒的な大自然を目の前にすれば、人生観が大きく変 わる人もいるでしょう。 私はこの山頂からエベレストを撮影することを長年の夢としてきました。 ヒマラヤを訪れてから十年目、ようやくその願いを実現することができたのです。
命が希薄な時代
ここからの眺めは生の感動を呼び覚ます
それは自らの足でたどり着いた者への賜物である (天空の記憶44ページより)
写真 カラパタールからの眺め、左奥がエベレスト 8,848m中央はヌプツェ 7,855m