【残り5日】未だに人間が成っちゃいないけど
vol. 116 2021-01-11 0
115日目終了。三連休の中日。
仲間たちからの支援の問い合わせも届く。
感謝するしか出来ないし、期待に応えることしか出来ない。
最後の瞬間まで走り抜ける。
三連休の中日になっても感染者数は予想を大きく越えている。
新しい変異種であるとか、怖くなるニュースもどんどん増えている。
社会全体が自粛ムードを強制するような空気になってきている。
でも少し勘違いしていないか?と感じるようになった。
このウイルスをなめていて大丈夫だと外に出ている人がいるという意見を見かけるけど。
やっぱりそんなことはないんじゃないかって感じている。
今、世の中のソーシャルワーカーを除くすべての人が家にいた方が良いとわかっている。
わかっているけれど、そういうわけにもいかないという立場の人がたくさんいる。
もちろん、何も考えずに外に出ている人もいるけれどかなりの少数派だと思うよ。
どうもその少数派をピックアップすることで、外出する人全体が悪いという空気がある。
今、家に閉じ籠ることが出来る人は恵まれた人だ。
その恵まれた人たちがそうではない人を攻撃するのはあまり良いことではない。
それは分断しか生まないと思う。
ウイルスは怖いし、家にいたいけれど、仕事をしないわけにもいかない人。
そういう人をないがしろにするのであれば、それは表現の死であり、社会の衰退だ。
エンターテイメント業界からも悲鳴が相次いでいて。
20時に終了するという根拠が何も提示されずに、飲食店じゃないから保証もない。
さらに言えば、映画館で言うレイトショーは元々観客はそこまで多くもなく。
演劇で言えば、平日に公演をすることが出来なくなるようなスケジュールになる。
去年の春から続くエンタメ業界の風向きは悪く、すでに客足は遠のいている。
その上で、安全基準となるべきガイドラインが決まってそれを遵守している。
それを遵守するために、新しく工事でダクトを入れたり空気清浄機を設置したりしたのに。
つまり、国が示す安全基準をクリアしているのに20時までと言われることに違和感を持っている。
黙って潰れろということだとしたら、黙ってはいないし、お願いベースなら守れないはずだ。
その上、2月の特措法改正があれば、閉めないと法令違反になる可能性まである。
なくなってしまえば再び生まれることが難しい業態にとっては使命感もあると思う。
だけど、わかっている。今、感染を食い止めるべきだということも痛いほどに。
その中間に立たされているなんて、どんな気持ちだろうと思う。
恐怖感が強い。
少なくても10月の舞台公演をする時もそうだった。
一つは自分が感染してしまうこと。
一つは仲間が感染して、中止せざるを得なくなる事。
一つは続けることで、社会的に後ろ指をさされること。
そして一番の恐怖感は、自分たちの舞台でクラスターが生まれてしまうことだった。
お客様との信頼感の中で信じて、お願いするしかない部分も多くある。
一方で体力がある大きな動員のある団体は簡単に中止発表をしていくわけでより厳しくなる。
だから、今、舞台の公演をしている人を、映画館を、責めないで欲しいなあと思う。
僕には今も公演に向かっている人たちの恐怖感が痛いほどわかるから。
社会の声は当然、自粛の方が強くなっていくはずだ。
死者数が減ることはないし、恐怖感は大きくなる。
それに自粛する人が増えるほど、自粛していない人への憎悪が高まっていく。
思った通り関東の緊急事態宣言が全国に拡がりかけている。
だったらうちもと、どんどん手を挙げていくはずだ。
命を天秤にかけることなんかできるわけないのだから。
人と人との距離が開き、自治体は国に責任を投げ、社会全体が自粛ムード一色になる。
この三連休が終われば加速することは間違いないだろう。
ただ今回は折れてしまいかねない。
いや前回だって折れた人たちがいるけれど。
今回は一度、抜け出している分、再びの悪い状況に心が折れやすくなっている。
ワクチンが開発され、症状ごとの段階での治療の知見が集まっている今でもだ。
もう無理だ。
そんな声があちこちから聞こえてくるじゃないか。
何が無理なんだ!?なんて、頭ごなしに言ってはいけない。絶対に。
芸能人がさ、ステイホームの間は家族との縁が深まりましたとか、ゲームしてましたとか。
そんなことばっかり言ってるけどさ。
社会全体の平均的な人たちに向かっていて、想像力が欠けているんじゃないかと思うよ。
何も出来ず、寝て食べるだけだった人がいるんだぜ。
緊急事態宣言が開けてから自ら命を捨てた人たちがいるんだぜ。
わかってるんだ。
わかってるんだってば。
ってか、わかってねぇで意識が低い行動をしてるのを見たら頭にだって来るんだ。
何やってくれてんだよ、こんなに大変な人たちがいるんだよって思うんだよ。
でも、お前らふざけんじゃねぇ!も簡単には言えないよ。
それを口にしたら、わかってても仕事をしなくちゃいけない人が苦しむかもしれないから。
感染を拡大させてしまうかもしれないという恐怖と闘いながら生きている人がいるから。
成人式だってそうだと思うぜ。
自治体主催のイベントでクラスターを起こすわけにもいかないから準備してたはず。
何か月も前から感染対策に万全を期して、会場を出た後も集まらないように工夫して。
下請け業者もたくさんいて、贈呈品も全部対策済みで。
当然、20時前に終わるし、人数制限もしている中で延期や中止をする理由がないわけで。
役所の連中はって思うこともたくさんあるけれど。
きっと成人式の担当さんたちは胃袋をボッコボコにしながら準備してたと思う。
制限された中でも祝ってやりたいというスタッフはきっといるんだから。
中止も仕方ないと思うけれど、そういう気持ちをないがしろにしたくない。
どんなに注意してもバカ騒ぎするワルガキはいるだろうけれどさ。
成人式に出てもまっすぐ帰ってくる子が多いんじゃない?
今、連帯が必要だよ。間違いない。
でも連帯するのは一人一人の個人で。
その個人には感情があって個性があって。
じゃあ、一人をないがしろにしていいのか?って問題をどうするんだろう。
ここからさらにがんじがらめにされていく。
てめえ自身の範囲内の想像力だけで生きていくには限界があるよ。
だけどどんなに厳しい制限も縛れないものがある。
それは人の想像力だ。
何をされたって、僕の頭の中までは侵食できない。
面白いことを考えるんだ。
ついこの間まで、夢を持てる社会なんて言ってたじゃないか。
旗色が変わった途端に、夢を持つことが出来ない社会にしてどうする。
僕は僕なりに万全の対策をする。
自分の出来る範囲で感染が拡がらないように努力する。
母親は退院したばかりだし、気を付けないといけない。
でもこんな時に誰かの心を殺すようなことはしたくない。
そして、同時に僕は僕の心を殺すようなことだけはしない。
例え遅すぎて止まっているように見えるスピードでも前進する。
前に進む。
止まってどうする?
止まって何が良いことがある?
自分に厳しく、同時に、進めばいい。
成人式なんか僕は大して面白くもなかったけどさ。
成人の皆様に、ただただ「おめでとうございます」という言葉を贈る。
まぁ、大人になることなんかめでたくもなんともないよ。
それにハタチぐらいじゃ、社会は平然とガキ扱いしてくるよ。
とにかく、今の大人の言うことなんかあんまり聞かないでいいよ。
自分たちの判断で、自分たちの想像力にまで鍵をかけずに進んで欲しい。
世の中は、お先真っ暗みたいな雰囲気が漂ってる。
でも、君たち。未来はすばらしいのだよ。明るいのだよ。
これから、まぁ、苦しむことも悩むこともあるだろうけれど。
どうしょうもなく幸せな瞬間が必ずやってくるのだよ。
あとね、一生かかっても辿り着けないような深淵があるよ。たくさんの人が目指してる。
まぁ、多分、今の子たちは僕が思っているよりも大人だからさ。
僕のような人間を、馬鹿な奴だと思うかもしれない。
こうなったらおしまいだななんて思われるかもしれない。
別に誰かの参考書になりたいわけでもねぇしさ。
でも君たちにも負けないぐらい、僕は未来を期待しているしワクワクしている。
これからどんなことが起きるだろう。
コロナ禍が収束したらどんな社会になるだろう。
連帯と個人という考え方はどんなものを生み出すだろう。
その時僕は何が出来るだろう。
悔いなき道を行け。
どうせ生きてりゃ、どこかで後悔するけどさ。
とにかく、自分の意思で道を選ぶべきだ。
誰も見ていないかもしれないけれど。
背中を見せていく。
僕は前に進む。
この暗い中でも。
一人でも多くの人と共感を拡げながら進む。
まだ間に合うはずだ。
もっと僕たちは素晴らしい世界に進める。
幸せがどこにあるかなんか結局誰にもわからないけれど。
確かに幸せな瞬間はある。
それをたくさんの人と一緒にしたいと思っているだけだ。
116日目が始まる。
三連休の最終日。本当なら全国で成人式だった日。
思えば僕は未だに成人できていないのかもしれない。
やれやれと思う。
それでもこんなにたくさんの応援が集まってる。
こんなにたくさんの人が参加して拡散してくれている。
未だ人間がなっちゃいないけれど、姿勢だけは崩さない。
僕を信じてくれている人がいるのだと気を引き締める。
生きるぞ
生きるぞ
生きるぞ
共に一つのゴールに向かって走ってくれる人がいるのだから。
小野寺隆一