新月に吠えろ
vol. 89 2020-12-15 0
88日目終了。
昨日90%到達したばかりなのに本日も増えて92%に。
皆様、ご参加ありがとうございます。
映画完成まで共に歩んでくださいませ。
新月の夜に開始したこのプロジェクト。
初日から数えて4度目の新月の夜がやってきました。
月の満ち欠けの周期は29.5日だから少しずつずれていきます。
5度目の新月がやってて来た時はもうこのプロジェクトの最終日直前です。
新月はその名の如く、月が新しく生まれ変わることをさしています。
月の満ち欠けを生命に例えていたんだなぁと思います。
新月の夜に願い事をするという風習は今も残っています。
全国に月読神社がありますけれど、ほとんど高台にあるそうです。
太陽の化身の天照大神の弟の月読尊を奉っているのですけれど、月も見ていたのかもな。
古代に天文を見ていたという場所は今は多く神社になっているそうです。
春分の日に神社から鳥居を見ると真ん中を太陽が昇るという配置になっていることも多いとか。
神社のある場所は神社が建つ以前から神域という場所も多いのです。
今の僕たちの生活よりもずっと月の満ち欠けは生活に根差していた。
桶狭間の戦いの夜は新月だったという記録もあるそうです。
日本は太陰暦だったし、月が時間を司っていたのです。
文字通り一カ月は、月の満ち欠け一週だったのですから。
僕は月の時間を意識して、このプロジェクトを進めています。
本日92%まで伸びていて、わっ!と嬉しくて早速コレクターのページを見ました。
そこにあった名前にじぃんと感動したのでした。
もちろんご参加いただいた皆様に差があるわけではないのです。
かつての友人、劇団を昔から応援してくださる皆様、セブンガールズで知ってくださった皆様。
出演者の知り合い、親族、いつか酒を酌み交わした人たち、破壊の日からの皆様。
様々な皆様がご参加してくださります。
ただ今日、参加してくださったのは、同じ板の上に立った仲間だからです。
僕も、というか僕たちも、全員が、元劇団前方公演墳の劇団員になりましたけれど。
そうなる前からの元劇団員がいます。
もう10年以上前に劇団を退団した仲間たち。
でもそれまで10年近く、一緒の板の上に立った仲間の一人の名前がありました。
何度も二人芝居のシーンがあって、友人同士を演じて。
誰も来ない時間に劇場入りして二人だけで、殺陣の稽古を続けたこともある仲間です。
そして、一緒にライブを重ねたバンドメンバーの名前もありました。
僕が声をかけて、一緒にやって来たメンバー。
音のやり取りだけで、同じ汗をかき続けた仲間。
実はそんな昔の他の仲間からも応援の連絡が来ています。
ちょっと待っててとか、中にはクラウドファンディグじゃなくて直接渡すよとか。
それはなんだかさすがに恥ずかしくて、銀行口座なんか伝えられないままです。
僕にとってはとっても大事な思いが残っています。
劇団の十周年の後、それは本当に節目だったのだと思うのです。
今となっては、昔から応援してくださっている皆様しか知らないと思うのですけれど。
あの時も、たくさんの劇団のファンの皆様を悲しませたんだよなぁと思います。
芝居を辞めるという選択もあったし、やめざるをえないという仲間もいたし。
理由なんかはもうそれぞれ一人一人全員が違うのですけれど。
今日、参加してくれた仲間は、小野寺が劇団でかくしてよなんて言葉を残した一人です。
それでも続けてきた仲間たちはもちろんどんどんベテランになって高度になっていって。
だからあの頃の芝居と今の芝居なんか比較するようなものではないのですけれど。
それでも、あの頃の皆がいた時の得体のしれないパワーのようなものを僕は今も求めていて。
それに、退団したメンバーにちゃんと僕は伝えられていないことがあると思っていて。
そういうことの一つ一つが今も僕の背中にこびりついているのです。
そしてあの時、悲しんだたくさんの劇団のファンにも何かを届けなくちゃいけないと、ずっとずっと思い続けて僕は今日まで来ています。
バンドメンバーについてはさ。
うん。
もう、それはジョンのことがあるから。
この映画の主題歌をなんとか完成させて。
そのリハやRECの時にもう一度会って、話したいです。
断られちゃうかもしれないけれどさ。えへへ。
はやく連絡が出来るまでの状況にしないとだな。
僕たちのライブの曲のキメで、紙テープを投げるのが恒例になって。
実はその紙テープ投げが、劇団の特別な公演の千秋楽でも投げられるようになったのです。
それを知っている人も随分少なくなってきたなぁと思っていたら。
こうしてクラウドファンディグを始めて、そんな懐かしい人にも再会してます。
改めて。
そうだよな。そういうことだよなって思います。
こぼれおちていきそうないくつもの想いがあって。
そんな想いをそのまま置いてけぼりにすることだって別に問題ないと思います。
世の中を見ればそんなことはいくつだってあるのだし。
その時にこぼれおちた想いがあっても、その後もっと幸せになっているだろうし。
でもなんとなく、僕はそんな一つ一つの想いを拾い集めておきたい性分のようです。
いつかの涙も、一緒に笑ったことも、酔い過ぎてふらふら歩いたことも。
全部、自分の中に残っていて。
わざと冷たい態度をとり続けたこともあったし、自分の心を痛めつけるような日もあったし。
これでいいんだ、これでいいんだって小さい声でつぶやきながら。
今日まで何とかやってこれたのは、そんな想いがあったからなのだと思います。
ビートたけしさんの「浅草キッド」とかさ。
松本人志さんの「チキンライス」でもいいんだけどさ。
あ、大事にしてるんだなぁって思って。
そのたびに、僕もそうやって進むしかないんだろうなって感じます。
逆にね、ズバズバ新しく生まれ変われる人のパワーにも憧れてしまうのだけれど。
どうやら、僕にはそんな勇気はないみたいで。
本当に未練たらしく、思い出に勇気をもらいながら生きています。
月のように生まれ変われたらいいのに。
でも、月だって何度もやり直しているのかもなぁ。
解散を迎えるまで一緒に闘ってきたメンバーしか出演者はいません。
オファーをして出演を断られたら、その役をカットするつもりで。
別にずっとそうやって生きていくのかはわからないです。
でも、まずこれをやらないといけないと僕は思ったのです。
一緒に仕事をしたい役者さんなんかたくさんいるに決まっているのですけれど。
僕がやらなくてはいけないことはそういうことなのだと思ったのです。
劇団が解散して、また悲しませてしまった人たちがいます。
そんな皆様が悲しむだけじゃなくて、楽しみにする何かもきっと必要で。
解散決定前から企画していた映画だけれど、たぶん、同一線上にあるんだなって思います。
闇夜に空を見上げても月は何処にもありません。
でも影になっているだけで月はそこにあるのです。
ただワンカットの表情があったとしてその表情が例えば笑顔だとしても。
笑顔の裏側は感じることしか出来ません。
多分、僕はたくさんの思い出を大事にしながら、新月のように作品に忍ばせます。
こんなさ、疫病疫病な世の中で。
とにかく、何かを攻撃しなくちゃ、誰かを攻撃しなくちゃやりきれなくて。
若者を攻撃したりさ、飲食店の時間を切り上げたり、Gotoやめてみたりさ。
でも関係なく感染は拡がっていってしまうよ。
だって水面下で感染が続いてきて、ようやく乾燥した冬がやって来たんだもん。
一度もゼロ人に出来なかったんだから、何をしたってこれまで以上には拡がるよ。
わかってても、何が悪いんだろう?って考えてしまうんだろうけどさ。
ウイルスが悪いのに、世界中で誰が悪いのかって探し回ってさ。
そんな中で、ロマンチックなことばっか言って、どうしょうもねぇなって思ってます。
バカなのかもなって思ってます。
でも僕は大事なのですよ。
小さな思い出が。
小さな想いが。
それをそのままには出来ないのです。
叫びたくなるけれど。
今は、叫びじゃないのかもしれない。
あちこちから、声のない叫びはもう届いているから。
僕は、吠えなくちゃいけないのかもしれない。
吠えろ。
吠えろ。
月に向かって。
これを書いている途中に95%190万円を超えていました。
今、気付きました。
ありがとうございます!
僕は例え負け犬の遠吠えだと言われようと。
見えない月に向かって吠える狼だと思いこもうと思います。
待ってろ。
待ってろ。
待ってろ。
やってやるから。
やっちまうから!!
小野寺隆一