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映画「セブンガールズ」製作から3年、もう一度下北沢から世界へをクラウドファンディングで実現!

映画「演者」製作プロジェクト┃
映画「セブンガールズ」製作から3年、もう一度下北沢から世界へ

劇団で映画を製作して世界に持っていくという「セブンガールズ」プロジェクトから3年。もう一度、奇跡を起こすために舞台作品を映画化するプロジェクト。ご支援お願いいたします。

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このプロジェクトは、目標金額2,000,000円を達成し、2021年1月15日23:59に終了しました。

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このプロジェクトは、目標金額2,000,000円を達成し、2021年1月15日23:59に終了しました。

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劇団前方公演墳所属、制作、HP管理、チラシデザインなど ショートフィルム企画を劇団で立ち上げる経験あり 他、舞台制作多数 「セブンガールズ映画化実行委員会」を立ち上げる。 映画「演者」の製作を開始する

「あの頃」になった全ての表現たちよ

vol. 69 2020-11-25 0

68日目終了。

ここ数日間の社会的な無意識の転換点を見ていて。
ああ、また社会不安がどんどん加速して大きくなっていると感じている。
連休を越えて今週から今週末にかけて更にそれは大きくなるのだろう。
通り一遍のやり取りがまたしても繰り返される。
そして根拠の希薄な強迫観念がまたしても世間を跋扈する。
今回はシーソーはどちらに傾くのだろう。

低予算映画でのインディーズムービーにはいくつかの原則がある。
予算がそれほどかけられないのだから、予算をかけずに済むように企画される。
物理的に出来ないし、大変になるのだから当然、企画段階で避けていく。
そんな定石をなぜ外して、僕は現代劇を選ばないのだろう?
ロケに出ればそのまま外観を撮影すればすむ。
衣装だって、言葉だって、現代という時間を切り抜く方が明らかに時間もかからない。
実際、前回の企画「セブンガールズ」でもこっぴどく言われたこと。
この規模の撮影で時代劇はありえないですよと。
まぁ、少し考えればわかることだし、わからないでそうしたわけじゃない。

別に現代劇をやりたくないわけではなくて。
むしろ、現代劇は現代劇で近いタイミングで舞台でも映像でもやりたい。
自分の感じる現代というものを思い切り切り抜きたいなあと思っている。
つまり別に避けているわけでも何でもない。
定石どおりにそこに向かおうと思えばきっと意外にあっさりとそこに向かったと思う。
舞台を原作とせずに新作を書いてみようと思った時は確かに現代劇だった。

ひとつはっきりしているのは、コロナ禍となって、ほとんど全てが時代劇になったことだ。
コロナ禍以降に撮影された映画以外は、もう「あの頃」になってしまった。
例えば、街中を撮影していても、マスクをしている人がいない風景は既に違和感がある。
例えば、居酒屋で酒を飲む風景を見れば、違和感が生まれてしまう。
大きく時代が変化する時、時代の流れが早い時、こういうことが起きる。
バブル崩壊後に、バブル崩壊前に撮影した作品がすべて形骸化したのを覚えている。
現代を切り取っているようでいて、とてもじゃないけれど現代とは言えない違和感。
結局、「あの頃」として観てしまうから、時代が近いだけで時代劇になっていた。
9.11の全米同時テロの時や、湾岸戦争、オウム真理教事件、東日本大震災。
どれもインパクトがあって社会が変わったのを感じたけれど、その時以上だ。
あの時でさえ、多くの作品が一瞬で風化したと感じたのに。

不確かな現代をどうやって表現していくのかというのは視点として持っている。
そして現代劇ではその現代を切り取ることをするのは物語を小さくすると感じていた。
リモートであったり、マスクであったり、世相を反映するほど小さくなる。
けれど現実に起きていることはもっと心理的だし、世界的だし、大きなことばかりだ。
皆がマスクをしている映画を撮影して、今のこの社会的な息苦しさをどこまで表現できるか。
もちろん出来なくはないのだけれど、自分が今表現したいことからはかけ離れていた。

集団心理と個人の尊厳。
多くの場面でその二つが対立するのを2020年は何度も目にしてきた。
そんなものはもちろんこれまでもあったことなのだけれど。
世界的な疫病騒ぎで一気に表面化したように思えた。
「戦時下」と例える人もいた。
疫病と「戦う」という表現もいくつも見かけた。
そこは「闘う」でいこうよと何度も思った。殺し合ってどうする?
僕自身も集団心理を気にせずに生きていくことは不可能になった。
マスクを外して電車にでも乗れば、容赦なく冷たい視線が襲ってくるのだから。

改めて個人とはなんなのだろうと思う。
僕は僕だから。そこは僕の意見だから。
そんなことが簡単には通じない雰囲気がどんどん包んでいった。
その雰囲気の正体って何なのだろう?
僕の想像する大勢の人の視線なのか、それとも想像ではなく実際に受ける圧力なのか。
僕は人の視線を気にして生きているのか。
それでは、僕は結局、誰のために生きているのか。
「生きる」「死ぬ」というけれど、僕は自分の命をどうとらえているのか。
感染したくないのは、死にたくないからなのか?
僕という個人と、世界と社会と、共同幻想と。
その強烈な違和感をそのまま作品にするには現代劇では難しいと思った。
俯瞰で観ることが余りにも難しかった。

ただ2018年の舞台のまま映画化するのは無理だなと思った。
今でも通底している部分は多かったけれど。
これだけでは自分の中で作品として違和感が残った。
実は舞台版そのままをシンプルにショートフィルムにしようとも考えていた。
でも、今、何かを信じて進んでいる自分には、それは不可能だった。
不要不急とあんなにも簡単に切り捨てられた場所に立っていた僕は。
それをそのまま見過ごすということがちょっと出来ねぇじゃねぇかと思えた。

自分の中で重要なシーンを書き加えた。
物語の強度を上げるシーンでもある。

例えば今、コロナ禍が終息したとしても。
この間に感じたこと、大勢が不安になった結果に起きたこと、それは変わらない。
そこを作品にしなければ嘘だろう?と僕には思える。
結果的に、現代からほんの少し離れているこの物語が一番それに近かった。

現代劇よりもインディーズムービーでは困難なことは最初から分かっている。
でもその時代を選んだのには僕なりに訳がある。
言葉で説明できないから、言葉じゃない表現が生まれる。
僕はうまく言葉に出来ないけれど、はっきりとしたその空気が見えている。

「今だからこそ観て欲しい」というキャッチコピーには飽きてきた。
本当にそう思える作品もあったのに。
あまりにも、多くの作品でこんなコピーを使うようになった。
映画でも演劇でも小説でもみかけたよ。
猫も杓子も「今だからこそ」
もうおなかいっぱいだ。
お前らが決めることじゃない。

そうじゃないだろう?

今だからこそ取り組む作品について考えるべきだろう?

69日目が始まる。

小野寺隆一

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