暗いトンネルに刺した一条の光
vol. 55 2020-11-11 0
54日目終了。
60人を突破した。
今月中にあと40人の目標に達するのだろうか。
たくさんの皆様が拡散してくださっているだけに。
地道に一つずつ進んでいくしかない。
ただ確実にプロジェクトを知ってくださっている皆様は増えている。
今まで出会った人たちにお知らせをするのはとても勇気がいる。
小劇場で舞台に立った人たちは誰でもそういう思いになったことがあるんじゃないだろうか。
舞台のお知らせを友人に送って、こういうのはもう送らないで欲しいと言われたことがある。
友人たちだって生活があるわけだし、舞台に興味がある人もない人もいる。
一方的にお知らせを送るのだからタイミング的に最悪なことだってあるはずで。
それでも小劇場というフィールドでは手売りが一番大きな入口なのは間違いがない。
役者によってはそんな返事が続いて臆病になってお知らせが出来なくなる人もいる。
僕もたくさんのお知らせを送ってきて、送らないでくれという言葉に心が何度も折れた。
けれど、心が折れてあまりお知らせを送れなくなった頃に、いつも怒られた。
なんで、教えてくれなかったんだ?行けたかもしれないのにと。
拒絶する人もいれば、お知らせは送って欲しいという人もいる。
こういうのはとってもバランスが難しい。
特にこのクラウドファンディングのお知らせというのはどこか気が引ける。
前回、最初の「セブンガールズ」のクラウドファンディング第一弾の時もそうだった。
あの時は僕が一人で始めたとはいえ、目標金額に達しないと実現しないという形だった。
だから、出演予定の俳優によってはとっても熱心に友人たちに声をかけてくれた。
ただただプロジェクトの共感を集めようという気持ちだったはずだ。
でも、役者によっては友人にお金を出してとお願いしているみたいであまり連絡できない人もいた。
本当に仲の良い友人にだけ連絡してみたり、友人ではなくSNSだけで積極的になったり。
僕は始めた責任があるから、第一弾でも必死に連絡を続けたけれど、そこに差が出来ていた。
僕はそういう違いは役者それぞれで生まれるものだから当たり前のことだと思う。
けれど同時に一生懸命な仲間には何か後ろめたいものを感じてしまった。
自分が始めたのに皆に頑張らせているということに小さな違和感をずっと持ったままだった。
決定してから皆で映画を創るという部分はともかく、あの段階ではそうだった。
うちの劇団はチケットノルマなどはない劇団だったけれど。
頑張ってチケットを売っている人が不満を漏らすということは大昔に何度かあった。
そういう記憶がこびりついていたからかもしれない。
そしてその原因はやはり経済的に自立できていないということが根本にあった。
見に来てくれたお客様は、次も呼んでね!と言ってくださったけれど。
それでも劇団が潤沢に運営出来て役者にギャランティがしっかり支払われる状況は難しかった。
僕たちは劇団が経済的に成り立って、大きな劇場などにも行けるようにと頑張っていたはずだ。
現状維持では、年齢を重ねて、疲弊して一人二人と辞めていくのは目に見えていたから。
一歩でも前に、一段でも上に、どうやって進もうかと日々考えていたはずだ。
映画「セブンガールズ」を製作して幸いにも公開することも出来た。
明らかに小劇場とは違うシステムで回っていることも良く分かった。
ただインディーズムービー、ミニシアターの世界も小劇場と同じかもっと酷い状況だと思った。
簡単に「セブンガールズ」から次回作に進めなかったのはそういうことだ。
はっきりと言えば、ビジネスモデルとして確立されているのは商業映画だけだ。
いわゆるローバジェット映画は二次使用、三次使用でもまだまだ厳しい。
その代わり、映画の場合は当たった時は大きいということだけはわかった。
そして例え商業映画でも、当たらない時は酷い目にあうこともわかった。
では僕がやろうとしていることはただの「夢」なのだろうか?
夢をかなえることが最終目標なのだろうか。
そうじゃないだろう!と思っている。
自分たちが信じることのできる作品を創りながら。
同時に芝居のことだけを考えながら仕事にしていける方法。
そこに向かわないと、僕たちはフェードアウトしてしまうと思った。
まず一つ夢を掴むことの先にしか実は道がないと今の僕にははっきりと言える。
それは僕にとっては夢ではなく、現実の道だ。その先に向こうがある道だ。
その時に僕は今までと同じことを繰り返したくない。
劇団を大きくすることが出来なかったのは皆が悪いということになるのだと思うけれど。
この「演者」が羽ばたけなかった時には誰かのせいにしたくない。
少なくても出演者の責任には絶対にしたくない。
まぁ、羽ばたくんだけどさ。
でもそういう覚悟で進まないと結局はどこかに甘えが出てしまう。
脚本を書くこと一つでもそうだ。
ちゃんと演じてくれたら最高の作品なんて覚悟で進むのはどこかに甘えがあるのだ。
ちゃんと信頼してもらってちゃんと演じてもらえる脚本を書く。
そういう覚悟だ。
役者が良くしてくれるだろうなんて幅は持たない。
結果、良くしてくれたら喜べばいい。
一条の光をみつけたのだから。
ここがもしかしたらループからの抜け道かもしれないという道を。
出演者たちにはクラウドファンディングの宣伝をしないで良いと伝えているのはそういうこと。
SNSでの拡散だけをしてくれたらそれだけで充分だ。
多分、頑張らせてしまうのは間違っている。
そんなとよりも自発的に演じることを頑張りたくなるようにすることが何よりも重要だから。
そして僕がみつけた光を共有したい。
いつか、必ず、その光を見たい。
もし僕がお知らせをした人で気分を害した人がいたら謝ることしか出来ない。
こんなお知らせばかりで申し訳ないと言うしか出来ない。
それでも僕は、参加してくれたり、拡散してくれる人がいるのだから続けていく。
そして必ず皆が笑えるような日を力ずくで掴み取る。
一人でも共感してくださる方を探し続ける。
心がちぎれてしまいそうにもなるよ。そりゃあ。たまにはね。
今や根無し草もいいとこだしさ。
だからこそ勇気をいただいている。
一人一人に。
必ず。
応援してくれた皆が、応援して良かったと思えるような。
そんな日を迎える。
絶対だ。
絶対にだ。
55日目が始まる。
偶然にもゾロ目が重なる日だ。
そんな偶然もきっと偶然じゃない。
小野寺隆一