【応援メッセージ】映像作家・堀切さとみさん
vol. 14 2019-01-27 0
普段は小学校で給食調理員として働く堀切さとみさんは、震災の3年前に初めてメディア講座を受講し、カメラを手にとったといいます。
東日本大震災直後、福島県浜通りからたくさんの人々が、堀切さんの住むさいたま市のスーパーアリーナに避難してきました。当時、いてもたってもいられない思いでアリーナに駆けつけたといいます。その後、双葉町の人々が役場ごと、加須市にあった閉校となった旧騎西高校に避難し、それ以来、堀切さんは騎西高校に通うようになりました。
2012年7月に初めて上映された作品「原発の町を追われて」は、いわきの仮設住宅で上映した時はブーイングを浴びたこともあったといいます。双葉町民を傷つけたのでは、と悩む堀切さんにとって、同じように水俣を撮った故・土本典昭監督のことが支えになったそうです。
「土本監督も映画を撮った直後は批判されたが、数年後に評価されるようになった。被害者にとってその時は受け容れられなくとも、時間の経過とともに記録してもらってよかったと思う日が来る」
2012年9月26日(水)19時より上映された『原発の町を追われて ~避難民・双葉町の記録』の上映後トークの模様です。
その後も堀切さんは双葉の人たちを撮り続け、作品は3部作となり、今も全国各地で上映会が開かれています。
出展作家のひとりである鈴木とは、2017年の福島映像祭が最初の出会い。その後DVDを購入するためにメールを送り、そこから交流が始まりました。鈴木の描いた絵本を購入してくれ、双葉町の人たちに見せてくれたり、絵本を描くにあたってアドバイスをもらったりしています。
堀切さとみさん、メッセージありがとうございます!
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福島原発事故から8年。
2011年3月11日は誰もが、多かれ少なかれ「当事者」でした。
かつてない揺れに驚愕し、津波の映像に仰天し、計画停電にわが身を省み、そして生き方を変えようと思った人たちが首都圏にも沢山いました。
私は3・11で「日本は終わったな」と思うほどショックだったけど、故郷を奪われ、生業をなくしてもなお、何とか生きていこうとする人たちと出会いました。彼らに、終わりはないことを知りました。
当時、声高に「絆」という言葉が叫ばれました。人と人が支えあう言葉だと思っていましたが、そうではないことが見えてきました。「絆」=家畜をつなぎとめる、束縛するという意味だったのです。事故が起こる前、原発の町に住む人たちは、ものを言うことができませんでした。事故が起こった後も、変わらない。「復興」も「解決」も、国が決めたこと以外は口にすることが難しくなっている。そんなフクシマ。
絆とは、一見似ているようで違う「もやい」という言葉があります。もやいとは、台風の時に舟と舟をつなぎとめる網のことなのだそうです。真実をみよう、記憶にとどめようとする舟たちは、風化と同調の波にさらわれそうになる。でもそれぞれの舟がつなぎあって溺れないようにするのが、このもやい展なのだと思います。
一人一人が自由であること。自分の感性に正直であること。そんなアーチストたちによってつくられる試みは、観る人の想像力とシンクロすることによって、大きな波に飲み込まれずにすむ。
まだ8年。はじまりにすぎないってことを、もやい展は突きつけてくれる気がします。
堀切さとみ
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「もやい」それは、荒縄の強固な結び。3.11から8年、福島原発事故と向き合ってきたアーチスト達の個々の表現が金沢21世紀美術館で結ばれます。絵画、彫刻、写真、生花、造形、詩歌……福島の現実と命の輝きがあなたを包みます。
引き続き、シェア・ご支援のほどよろしくお願い致します!
https://motion-gallery.net/projects/2019moyai_kanazawa
★もやい展スケジュール★
場所:金沢21世紀美術館 ギャラリーA(石川県金沢市広坂)https://www.kanazawa21.jp/
日時:2019年3月5日(火)〜10日(日)
5−7日/10時~18時 8−9日/10時〜20時 10日/10時〜17時
入場料:100円(各種免除規定あり)