【応援メッセージ】藤井明子(『大霊廟Ⅳ ー音楽崩壊ー』プロデューサー)
vol. 2 2023-09-04 0
応援メッセージをいただきました!
メッセージを届けてくれたのは、このリサーチプロジェクトの関連公演 安野太郎 ゾンビ音楽 『大霊廟Ⅳ -音楽崩壊-』(愛知県芸術劇場 小ホール|2023年10月14・15日開催予定)のプロデューサーである藤井明子さんです。
藤井さんは、かつて安野太郎がはじめて自分の作品を舞台に上げて作曲家としてのデビューとなった公演を制作されたプロデューサーでもあります。
藤井さん、メッセージをありがとうございます。
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《藤井明子さんからのメッセージ》
安野太郎さんの「ゾンビ音楽」は、まず音楽としてその特異な形態に目と耳を奪われます。ケーブルで繋がれた指が動いてリコーダーを演奏する様子は、人間が不在で屍がうごめくゾンビそのものだし、奏でられる音楽も、”人間の感性には奇妙に聞こえる”ことに由来するゾンビの音楽です。だから、2022年3月に京都芸術センターでの公演『大霊廟Ⅲーサークル・オブ・ライフー』を観たときも、私は最初音楽としてのゾンビにばかり着目して、”サークル・オブ・ライフ”という作品全体を通じたテーマをすぐに結びつけることができませんでした。しかし、安野さんにとっては、もとよりゾンビ音楽は社会や人間のことを考えるライフワークとしてのプロジェクトであり、『大霊廟Ⅲーサークル・オブ・ライフー』は、創作の過程でリサーチにかなりの時間を費やしたことにより、結果として作品の形は、ゾンビ装置を伴った音楽の演奏に、映像上映や出演者による小芝居が加わり、より立体的な舞台作品に仕上がったのでした。
そして今回、新作ゾンビ音楽『大霊廟Ⅳ』に向けて、次のリサーチプロジェクトが進められています。今回のテーマは「音楽崩壊」。音楽大学の教員となった安野さんが、映像制作者の小野寺啓さんとともに、音楽教育の未来や音楽家の卵たちの未来について、様々な人にインタビューし、真剣に考え、リサーチブックにまとめます。作曲家の視点で調べ、編集され、語られる、社会の中での音楽/音楽の未来はどのようなものなのでしょうか。きっと音楽大学や音楽の在り方を専門に考えている研究者、教育者の方々の理想とは異なる、もっと生々しく痛々しい、でも希望や熱量や楽しさが見いだせるものじゃないかと想像しています。まずはこのリサーチプロジェクトの結果が素敵なリサーチブックとして結実することを期待しています。
そしてリサーチで得た成果をもとに形づくられる舞台作品、10月14日・15日に愛知県芸術劇場で上演するミュージック&ドキュメンタリー ゾンビ音楽『大霊廟Ⅳー音楽崩壊ー』は、安野さん作曲の奇妙に聞こえる曲と、音楽の未来について考えさせられるパフォーマンスが一体となった、どこにもない不思議なステージになるのではないかと密かに思っています。
藤井明子
愛知県芸術劇場企画制作部部長/チーフプロデューサー
安野太郎 ゾンビ音楽 『大霊廟Ⅳ -音楽崩壊-』プロデューサー