実の父親が本作で俳優デビュー!? その理由について!
vol. 12 2026-03-04 0
こんにちは、『夜中のポップコーン』の脚本の谷です。
本プロジェクトの【出演者の紹介】の欄を見ていただくと、
一人だけ渋い出演者がいることに気づくでしょう。
この方は私の実の父親・谷潤一です。
父には顔の渋さゆえのこんなエピソードがあります。
会社の出張で海外のとある空港を訪れた父、
そこで床に落し物のようにカバンが置かれていることに気づきます。
「空港スタッフのもとに届けておこう」と考えた親切な父は、
最寄りの受付カウンターの上にそのカバンを置いて立ち去りました。
すると、「不審な鞄がある!」ということで爆弾物処理班が出動!
空港内が大騒ぎに!
結果としてただのカバンだとわかったのでよかったですが、
このコワモテですから判断が一つ違っていれば捕まっていたかもしれないという……
今となっては笑い話です。
そんな父と私ですが、名前にも特筆すべき逸話があります。
私の名前は「谷 風作」と言います。
「風を巻き起こすような人になってほしい」という願いが込められているそうで、かなりのミッションを背負っていますね。がんばりますね。
一方で、父の名前は「谷 潤一」です。
何か気づくことはありませんか?
実は、谷の家系は代々〈水属性〉だったそうなのです。
ファンタジーな話ではなく名前の話です。
つまり「潤一」の「潤」は部首が「さんずい」で、水なんですよ。
他の家族も水属性だそうですが、私が生まれてから「風作」ということで〈風属性〉に変えたそうで。
なので(?)、小さいころから風を操るのは得意でして(?)、
強く念じると台風の軌道が変わったり、高気圧を呼び寄せて雨予報を晴れに変えたりなど、幼少期は天候に対してかなりスピリチュアルな考えを持っていました。『天気の子』ですよね。
すみません、話が大きくそれました。
「なぜそんな父を出演させたのか」ということですが、
この作品は私にとって「父を出演させることで完成する映画だったから」です。
本作で繰り広げられる映画にまつわるエピソードは、
そのほとんどが私自身の経験や聞いた話から生まれています。
小さいころから映画と親しみながら成長してきましたが、
そのとき常に隣で一緒に映画を観ていたのが父でした。
私が俳優の道に進んだのも、元をたどれば、
父とお風呂場でモノマネしていた『ダイ・ハード2』の「ジョン・マクレーン役」の声優・野沢那智さんで、演技に興味を持ったのがきっかけです。
思い出の映画、トラウマの映画、寝てしまって内容も覚えていない映画、そのすべてが「父との映画体験」であり、
ふと懐かしくなって同じ映画を観返したときに思い出す光景には、実家のリビングや地元の映画館の記憶が決まって一緒に現れます。
つまり映画とは、その内容だけでなく「誰とどこで観たのか」も一緒に、フィルムに焼きついていくものだと思うのです。
よく『クレヨンしんちゃん』の映画などで、
「小さいころに観るのと大人になってから観るので、受け取り方がまったく違う」といった感想を耳にしますが、
これは映画と一緒に「これまでの自分の人生」が流れてくるからだと思います。
映画は記憶とともに流れるもの。
だからこそ、私は「映画とともにあった父」を映画に出してやりたかったのです。
記憶だけでなく、映画として父を残すことに意味があったのです。
それが、私と映画を出会わせてくれた父への恩返しだと思います。
──と、ここまでセンチメンタルに書いてみましたが、
本作が感傷的な映画ではなくコメディ映画になっているのは、両親から与えられた明るさゆえなのかもしれません。
今でも父の登場シーンになると、
「映画から父の声がする!」と体がびっくりします。
父は演技に関してまったくの素人なんですが、
さすがは私の父。味のある芝居をしています。
ぜひ劇場に観に来てください!!
『夜中のポップコーン』脚本・プロデューサー
谷 風作
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