『猪』と『猪ノ穴』
vol. 5 2021-06-03 0
『猪ノ穴』の構想に至った理由を少し…。
猪という動物。
人間が社会性を持ち日本という土地に暮らし始めた頃(縄文時代かどうかはわからない)生息圏が同じで衣食住の重要な素材として石器か槍か落とし穴?で得たのが猪だと確信します。
1頭捕れば何人の何日分かの糧となり、その捕獲方法に知恵を駆使することが社会の発達に多大な影響を及ぼしたのも想像出来るし後に猪が豚という家畜として優良食材となり今に至ることを思うと…鹿では役不足(捕らえる難度の問題とか)なのです。
農耕においても田畑を守る石垣等が獲物と共存する知恵の歴史を物語る。
ついでにいえば、ビーガンと名乗られる方々もすべての人も両親のずっと先にルーツを遡れば、必ず猪から得る要素(栄養も)があってこそ。
と、ここまでは私的な猪論。
銃を担いで…狩りまくった者がいつしか頭から外せないようになった論ですがそこに理由もあります。
猪狩りの仲間や先輩は自分の事を猪キチガイと呼ぶし思ってるはずですけど違います。『猪』が好きではあるし捕物人生で一番の獲物だとも自覚しています。でも狂ってはいない。信仰や崇拝の対象でもないけれど、それとは別の意識で猪に関わるきっかけがありました。
幼少の頃、近所の大工さんは『狩人(かりゅう)さん』で、ある日巨大な猪が作業場に吊るされました。それを見に多くの人が訪れ談笑が続きその中のオジさんが俺を抱えて猪の腹に詰め込みました…猪の腹に閉じ込められる経験がある人はこの世に何人いるのか…。この幼児体験を想像してください。
小学生の頃は一人でクヌギ林を廻りクワガタ採集。何度も猪と遭遇したのですが『乙事主』に睨まれながら引き返した山道の恐怖空間は今思うと『山への畏敬』の最初だったかも。
10年ほど前の冬、夜中から明け方のアルバイトをしたある日の帰宅中に道を塞ぐ『乙事主』が突然現れ避けるため反対車線に切り込んだ瞬間、対向の大型トラック(たぶん居眠り)と「逆スライド」したのでした。
こんな経験が猪考に結び付くのですが…
捕獲欲を満たすため猪を狩る者が、猪に命を救われている不思議。
百戦錬磨の大猪や懸命に仔を守る母猪から「生きる力」と「死ぬ美学」そして「山の底力」を投げ掛けられた気がし、猪論に導かれています。
渦中の新型コロナと豚熱を合わせて考えると…
人も猪も致死率の高い疫病を歴史上何度も克服してきたのだからテクノロジー(限度を超えてる感は満々)で克服することは間違いない。
一方猪は…豚熱の病原という理由で駆除され、その場しのぎでピントの外れた施策には失望と不安ばかり。
『樹を見て森(山)を見ず』な世の中が次代に明るい未来を引き継げるのか…。
でも実は、猪が病に絶やされることはない。と狩人は知っています。その理由に触れる場所として…『猪ノ穴』ができていく。
猪の生きる力が柱となり、食を囲み語らうのが大好きな自然派が集う処は愉しいはずです。構想のプロローグですね。
ネーミングにいろんな候補を発案してくれたメンバーに感謝です。
昭和な人間なので『タイガーマスク』の虎の穴からの連想で間違いない。
『猪ノ穴』はハマりです!
引き続きご支援と応援をよろしくお願い致します!