ヤマケイ社員による「山小屋の思い出vol.10」を紹介します!
vol. 29 2020-07-17 0
小社社員はさまざまなかたちで山小屋でお世話になっています。
そんな社員による、山小屋での思い出話をご紹介します。
第10回目は、今年入社の新人、山と溪谷編集部 堀内孝太郎がお届けします!
どうぞお付き合いください。
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「山小屋の人」になって初めて気が付いたこと
こんにちは。山と溪谷編集部の堀内と申します。
ついこの間まで学生だった私は、コロナ禍の中での入社ということもあり、まだ山小屋の方々とお仕事をご一緒しておりません。ですので、学生時代の山小屋バイトでの思い出をご紹介しようと思います。
私の思い出の山小屋は北アルプスの五竜山荘です。
私は学生時代、ワンダーフォーゲル部に所属し、山登りを楽しんでいました。毎年、夏休みを利用して2週間ほどの長期縦走を行なうのが恒例の部活。メンバーとの信頼関係を築くのが何より大切です。
一昨年の夏、私は長期合宿を前にして、同じ合宿のメンバー3人(自分含めて4人)との結束を深めるため、7月の三連休を使って、五竜山荘で短期アルバイトとして一緒に働くことにしました。
「山の中で働けるなんて最高だあ〜」という安易な気持ちだけで来てしまった私は、食事の準備、掃除、売店、利用者への対応、"超"早起きなどなど、山の上で働くことのシビアさを思い知りました。1年生の後輩に至っては人生初バイトが山小屋。目が回りそうになっている初日の彼の顔は今でも思い出します(笑)。
とくに宿泊者の食事の支度は、時間との戦いです。うかうかしていると登山者たちの休息時間が削られるため、厨房はまさに「戦」。ここに、登山者のことを第一に考える、山小屋の真髄を見た気がします。
スタッフTシャツに袖を通し、歯磨き中…。「山小屋の人」になれた気がした
もちろん大変なことばかりではありません。比較的暇な昼間の時間は、従業員にも穏やかな時間が流れます。後立山の景色をぼーっと眺めたり、小屋の方やアルバイトの人と雑談したり……。「嗚呼、俺はこのまま山で生きて行こう」と何度考えたことか(実際に就職活動中、山小屋への就職も考えました)。
1日の業務が全て終わり、従業員の全員で食べた夕食。下界ではコンビニ弁当を1人で食べることもままある大学生です。「よく頑張ってくれたね」と、労りの言葉をもらいながら食べたご飯は格別に美味しかったなあ〜。
とまあ、そんなこんなで3日間はあっという間に過ぎていきまして、初バイトの後輩もすっかり山男の顔に。"男子、三日会わざれば刮目して見よ"とはまさにこのこと。
たった3日間のアルバイトなのでおおげさかもしれませんが、大学生だった私たちにとって、山小屋に流れる時間はシビアであり、ロマンに溢れるものでした。
部屋から見た雲海。普段窓から見える景色とはまるで違う
最終日、下山を開始しようとすると、小屋の人たち全員にお見送りしていただき、「気をつけて帰るんだよ」「下の事務所でバイト代貰って帰れよ」などと温かい言葉をかけていただき、帰路に就きました。
ほんの一瞬でしたが、この経験を通して、山小屋の人たちはいつも登山者のことを考え、ベストを尽くしてくれているということを改めて知りました。
同時に、「山小屋の人」になってみて、それまで当たり前だと思っていたことが当たり前ではないということにも気づかされました。
五竜山荘といえば「山が好き、酒が好き」
いつも、限られた人、限られた物資で山小屋を運営する皆さん。
きっと今も、これからの登山のあり方、山小屋のあり方を考え、試行錯誤してくださっているかと思います。
これからも、多くの人にとって山が身近であり、そして自然と人間の営みのバランスをとってくれる存在として、山小屋が在り続けてほしいと切に願います。
山と溪谷編集部 堀内孝太郎
2020年入社。学生時代は信州の地で縦走登山やスノースポーツを中心に楽しむ。五竜山荘を運営する白馬館グループには、冬のスキー場バイトでもお世話になりました。
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残り28日となりました!
本クラウドファンディングの残り日数が28日となり、1ヶ月を切りました!
本日7月17日12時現在で7959人の方からご支援いただき、76,466,588円もの支援金が集まっております!
ご支援下さったみなさま、本当にありがとうございます。
しかし、支援先の山小屋の軒数はこれからも増えると予想されます。「より多くの山小屋に、より多くの支援と応援の声が届くように」という思いから、私たちはクラウドファンディングの活動を引き続き行ってまいります。
ひとりでも多くの方にこのクラウドファンディングの活動について知っていただきたく、
すでにご支援いただいた方にも、さらにSNSで情報拡散していただくなど、引き続きお力をお借りできればと思います。
また現在、オンラインイベントなども企画中です。
詳細が決まりましたらまた改めて告知いたします。
それでは、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
山小屋エイド基金運営事務局
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