法華院温泉山荘(九州・九重山)の弘藏岳久さんからメッセージが届きました!
vol. 16 2020-06-10 0
日本百名山のひとつ九重山(大分県)。坊ガツルに位置する法華院温泉山荘の院主 弘藏(ひろくら)岳久さんからメッセージが届きました!
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新型コロナウイルスの影響はすごいです。毎年、6月の第1日曜日が、くじゅう山域の山開きで、全国からミヤマキリシマも目指して多くの方がこのくじゅうを訪れます。
この日を中心に3週間程がこの山域のハイシーズンとなるわけですが、今年は人出がまばらな日も多く閑散としています。天候に恵まれた6月7日は、例年並みの人出となりましたが、それでも宿泊者は例年の2割程、平均すると1割にも満たない日々です。山開きも中止になり、8月に予定していた第5回の「山の日」大分大会も延期を決定しました。
ミヤマキリシマが咲くこの景色を求めて、全国から登山者が訪れる
当山荘は通年営業をしているため、長い長い冬が明けた春先から梅雨までの間に、売り上げの半分が集中します。この期間がないと従業員の通年雇用もできませんし、小屋の維持もできません。冬期閉鎖も随分議論してきましたが、毎年いろいろなイベントを開催し、何とか維持していきながら、春を迎えることを繰り返してきました。
もう一つは4年前の熊本・大分地震です。この時も春シーズンに大打撃を受けましたが、先が見える分、復興も加速していきました。こうも短期間に色々な災害が発生すると、借入金は増え、気力は減っていきます。
1882年の開業以来、水害や地震でも営業を続けてきましたが、4月9日から5月6日まで初めての自主休館を実施しました。その間にコロナ対策をして、5月7日から開館はしましたが、対策に決定打はなく、ひたすら除菌に時間を費やす日々ですし、未だに外来入浴は受け入れられない状態です。登山者の集いの場である山小屋が、制約だらけで居心地がいいはずありませんし、提供する側も心地よくありません。
それでもこの間に励ましのお言葉や、お土産を沢山いただきました。色々なアドバイスもいただきました。ありがたいですねえ、それも歩いてわざわざ持ってきてくれますので。何よりも糧になります。
これまでも、自然災害や天候、山火事、山岳事故と闘ってきましたが、それにコロナという新たな戦う相手が増えたと考え、この山域や山小屋を守って行きます。
戦うことが山小屋の使命と考えてきましたが、今回は山小屋エイド基金に参加させていただき、甘えてみようかと思います。
全国の山を愛する方々のお気持ちに感謝しますとともに、九州の数少ない山小屋も踏ん張っていることをご報告いたします。終着点が見えるまで耐えましょう。そして、その先に、「密」でお酒を酌み交わす日を楽しみにしています。
法華院温泉山荘 院主 弘藏岳久 2020/6/9記
地域の保全に欠かせない「野焼き」の様子と、弘藏岳久さん
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法華院温泉山荘ホームページ→ http://hokkein.co.jp/
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九州本土最高峰の中岳(1791m)をはじめ、久住山、大船山など1700m級の山々が連なる九重山は、大分県九重町と竹田市にまたがる火山群で、九重連山とも言われます。
いくつものコースどりができ、多くの登山者に親しまれています。
初夏にはミヤマキリシマが山肌を染め、美しいピンクの絨毯に包まれながら山歩きを楽しめます。
法華院温泉山荘は、九重の山々に囲まれた広大な湿原 坊ガツル(約1200m)に位置する歴史の深い山荘です。魅力はなんといっても九重の山々を眺めながら浸かれる温泉。疲れた身体を癒してくれます。坊ガツルには広々とした心地よいテント場もあり、こちらも人気です。
九重山は、ミヤマキリシマの季節だけでなく、1年を通じて楽しめます。紅葉に染まる秋も美しいです。
坊ガツルのテント場も現在はソーシャルディスタンス
山小屋の方からのメッセージ、また届きましたらお知らせいたします!
引き続き、よろしくお願いします。
山小屋エイド基金運営事務局
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