ヤマケイ社員による「山小屋の思い出vol.3」を紹介します!
vol. 15 2020-06-08 0
小社社員はさまざまなかたちで山小屋でお世話になっています。
そんな社員による、山小屋での思い出話をご紹介します。
第3回目は、入社7年目、ワンダーフォーゲル編集部の西村 怜がお届けします!
どうぞお付き合いください。
==============================================
山で最も暖かな場所
こんにちは。
隔月誌『ワンダーフォーゲル』編集部の西村 怜と申します。
大学時代はワンダーフォーゲル部に在籍し、山中では常にテント泊。当時の私にとって、山小屋はテントの受付と軽食を購入する場所という認識で、立ち寄らずに小屋の前を素通りすることも多々ありました。
そんな私が山小屋のありがたみを知ることができたのは、山と溪谷社に入社して初の北アルプス取材で朝日小屋に宿泊したときのことです。
ここでは朝日小屋での思い出を書かせていただきます。
入社1年目、右も左もわからないまま取材に赴くことになったのは、白馬岳から朝日岳を縦走し、栂海新道を通って海抜0mの親不知(おやしらず)へと抜けるコース。山旅の終着点が日本海というロマンあふれるプランに心を躍らせていたのもスタート地点まで。初日、2日目ともに霧が濃く、ようやく太陽が顔を出したと思ったらすぐに雲に隠れてしまう。2日間とも7時間以上の長丁場で体力、気力ともに尽き果てていました。
「記事にできなかったらどうしよう」
そんな不安を抱きながらたどり着いたのが朝日小屋でした。
朝日小屋に到着。辺りは霧に包まれていました
朝日小屋は北アルプス最北部に位置する朝日岳(2418m)の西側のコルに位置します。花の山として有名な朝日岳ですが、朝日小屋周辺にもお花畑が広がっており、白いチングルマがそよ風に揺れていました。小屋前には赤に緑にテントがいくつも張られており、登山者が各々自分の時間を楽しんでいました。
しかし、私は「小屋の管理人さんにお話しを伺って、明日以降の取材を再検討しなければ」という焦りがあり、足早に受付に向かいました。出迎えてくれた管理人の清水ゆかりさんは、満面の笑みで「お疲れ様!」と出迎えてくれました。
濡れ鼠なままぺこぺこと頭を下げる私に「とりあえず一息ついて」と温かいコーヒーを差し出してくれました。
コーヒーを飲みながら、ときに写真集をめくりながら、いろいろとお話を聞かせてもらいました。
朝日小屋にたどり着くルートはいくつもあるがいずれも遠く長い行程になること、だからこそ疲れを回復させる料理にはこだわりがあること。朝日岳は夏の花が有名だが、栂海新道のアヤメ平~黒岩平の秋の紅葉もすばらしいこと。山小屋での苦労話ややりがいなどもお話してくれました。
お忙しいなか、お話を聞かせていただいた清水ゆかりさん(左)
その日の夕食時。食堂に集まった登山者に、清水さんが献立を紹介してくれました。ご飯は富山県産のコシヒカリ、昆布じめのカジキの刺身、ホタルイカの沖漬けなど。地元富山の名産の料理がずらりと食卓に並びました。
「うちの料理は全部手作りなので味には自信があります! おいしい料理を食べて今日一日の疲れを回復させてください!」
絶品料理に舌鼓を打ちながら、暖かなひと時を過ごしました。
食堂ではその日の夕食と翌朝の朝食、お弁当が紹介されていました
登山という行為はリスクと隣り合わせです。行動中は、滑落や悪天候、疲労などのリスクについて、常に念頭に置いておく必要があります。登山において、そういった緊張状態から心をほぐしてくれる場所が山小屋なのではないでしょうか。
朝日小屋の食堂で、山ヤ同士が思い思いに語り合う姿を見て、私は山小屋のありがたみを実感することができました。
登山者の憩いの場である山小屋を支援するために、本プロジェクトがひとりでも多くの登山者に広まってほしいと願っています。
ワンダーフォーゲル編集部 西村 怜
2014年入社後、山と溪谷編集部を経て現在ワンダーフォーゲル編集部。山小屋に到着してから飲むコーヒーが大好き。ほっと一息、癒される。
==============================================
6000人以上の方々からご支援いただきました!
公開から3週間が経ちました。本日6月8日18時現在で6125人の方から55,217,375円のご支援が集まっております。
ご支援いただいた方、情報を拡散いただいた方、本当にありがとうございます!
参加する山小屋はこれからも増えていきます。引き続き多くの方にご支援いただき、より多くの分配金をお支払できるよう、進んでまいります。
それでは、よろしくお願いいたします。
山小屋エイド基金運営事務局
Twitter → https://twitter.com/yamagoyaaid
Facebook → https://www.facebook.com/yamagoyaaid