クジラの目
vol. 14 2019-08-21 0
ファンディングが終盤へ差しかかってくる中、昨日、ついに大台を超えました。ありがとうございます。
納得いくまで撮影し、製作するという、まるで写真集を作るように映画を作るという妥協のない映画づくりが実現する日がぐっと近くなってきました。
「世界を震わす名作」という大風呂敷にも聞こえるキャッチフレーズですが、実際に編集を半ば終え、手応えは十分です。支援してくれた方が「製作段階からかかわって楽しかった」と言われるだけではなく、公開された後、「あの映画に私は関わっているのよ」と誇らし気に言える映画を目指してここからも全力を尽くしていきたいと思います。
ところで、下の写真は海中で暴れる鯨の目の写真です。90年代、撮影を始めてから4年目にクジラ漁の撮影に成功した私は、鯨の断末魔の悲鳴を耳にしました。ほとんどの鯨が最後にこうして悲鳴を上げてから息を引き取ります。
その姿に衝撃を受けた私は、海の上の物語だけでは不十分だ、海の中の物語もしっかりと撮らなければならない。そう気づいたのです。海の上で撮っているのは人間の物語ですが、海の下では様々な鯨の物語が繰り広げられていたのです。写真集のテーマは大いなる命の循環です。視点が一方からだけでは不十分です。狩をする人間の気持ちだけではダメだ、狩られる側の鯨の気持ちもしっかりと撮らなければ片手落ちだと思いました。またそれが命を頂くものへの敬意ではないか、そんな風にも考えたのです。
ではどうやって何にカメラを向ければ鯨の気持ちを撮ればいいのか。全長18メートル、40トンの鯨です。巨大過ぎて、当初、見当もつきませんでした。
ある日、海に上がった鯨を眺めていると、ハッとあることに気つきました。鯨が目をつむっていたのです。
魚は死んでも目を瞑らない、しかし哺乳類である鯨は瞑ります。もしかしたら鯨の目を撮れば鯨の気持ちが撮れるかもしれない。
そう考えた私は、取材期間をさらに延長して「目」を撮ることにしたのです。
しかし、言うは易く行うは難しです。どうやったら鯨の目を撮ることができるのか、悩みに悩みました。マッコウクジラは白鯨のモデルにもなった深海で巨大なダイオウイカを襲う歯鯨類最強のどう猛な生き物です。船の上にいながら、鯨に襲われたくじらびともいます。まして私が撮影しようとしているのは手負いの鯨です。私は策を練り続けました。
待つことそれから3年、ついにその時がやってきました。
長くなるので続きはまたあらためて書きたいと思います。
ファンディング第3弾も、あと一息で達成の可能性が非常に高くないります。もし引き続き応援するよ、という方がいましたらよろしくお願いします。
https://motion-gallery.net/projects/whalehunter3