透明感
vol. 9 2019-08-07 0
くじらびとの映像で気をつけたのは映像に透明感を持たせること。それはラマレラだけではなくアジアの写真を撮りながら常に考えていることだが、くじらびとでは特に気を使った。
どうしても鯨漁、そして解体などが入ってくるとどろどろした情景が目に浮かびがちだ。赤い血を見たくないというのは、人間だけではなくすべての生き物の本能だろう。
透明性を持たせるというのは決してそれを覆い隠すことではなく、むしろ血が覆い隠すその先にある事物の本質を明らかにすることだと思っている。
映画では鯨の解体シーンも当然入ってくるが、生き物が生き物を食べる、わたしたちが命をいただくことで生かされるということの美しさを一言の言葉も使わず映像で表現しようと試みている。