シェア・拡散をお願いします。 再演のむずかしさ『山どうじ浜どうじ』
vol. 13 2015-03-22 0
【収録シリーズ2】新潟県巻おやこ劇場『山どうじ浜どうじ』
阿智村訪問から1ヶ月後、撮影クルーが次にむかったのは新潟県の『巻おやこ劇場』でした。
『おやこ劇場』は親子で舞台芸術を鑑賞し、色々な活動を通して子どもたちの感性を豊かに育てることを目的としたサークル団体として、全国各地で活動されていますが、『巻おやこ劇場』では「設立20周年を記念して会員みずからが舞台の出演者になる」という企画をされ、作・演出を依頼したのが加藤木 朗(一般社団法人 和力 理事)でした。
出演者は50人で、地元の民話をもとにした壮大な舞台『山どうじ浜どうじ』が前年秋(13年)に完成し、一日限定で上演されました。
今回の舞台は、前年に鑑賞されたお客さまからリクエストが多々寄せられ、奮起した会員さんの熱意で再演が決まりました。加藤木 朗は月に一度、巻に訪れて演技指導させていただき、出演者の皆さんは、与えられた課題を一年かけて稽古されました。
加藤木 朗は、自分の経験上で、前回と同じ台本では観客と演技者の両方がダレると感じていました。自分で把握出来、一年かけて乗り越えなければならない課題が必要でした。
本番を迎えた巻の舞台。
第1部 和力公演
第2部『山どうじ浜どうじ』
山と海を守っていた山どうじと浜どうじが仲違いをして、故郷が荒れてきます。その間隙をぬって魔物が棲むようになり、ウミガメのお母さんは卵を、カラスのお母さんは七つの子をさらわれてしまう。 やがて山どうじと浜どうじは仲直りをし、力を合わせて魔物を退治する、という物語。
劇の終盤。
舞台の上では平和になった故郷に山と海の住人たちが集まって大団円を迎えようとしています。 一方、客席の暗闇の中では、「カラスの赤ちゃんは?」と隣にいるお母さんに訊いている幼い声がきこえました。笑顔を取りもどしたその輪の中に、さらわれたカラスの赤ちゃんがいないのです。 きっと、息をころして物語の行方を見つめていたのかもしれません。
まるでその声に応えるかのように、舞台ではカラスの赤ちゃんもウミガメの卵たちも親の元に戻り『山どうじ 浜どうじ』の幕が下ろされたのでした。