「空飛ぶクソ」について少しお話します
vol. 7 2025-09-11 0
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『平和』チラシのキャッチコピーにある「空飛ぶクソから始まる、世界の平和」という文言に驚く方が少なからずおられるようです。
実は、”クソ”というのはフンコロガシのことで、主人公のブドウ農家のトリュガイオスは、フンコロガシに乗って神々の住むオリュンポスを目指す、というのですから、確かに無謀です。今でいえば、うんこまみれで、プーチンに「戦争やめろ!」と抗議に行くようなもんですから、いかに無謀なことか、想像がつくかと思います。
ゲスナー曰く、クソは「戦争で何もかも奪われた庶民から、唯一奪われないもの。トリュガイオスは、その最後に残された自然のエネルギーを使うのだ」と。確かに「クソったれ!」という日本語も、相手への罵倒のみならず、どん底にある自分を鼓舞するためにも使うメージがあります。
誰も欲しがらない、役に立たないもののようですが、しかし、ひと昔前まで、田畑の肥やしといえば人糞が使われていました。古代エジプトではスカラベと呼ばれて装飾品や護符に使われ、今でも土産物屋さんでよく見かけます。これは、フンコロガシ(スカラベ)が、クソを転がして丸めて大きくする様子が、太陽が天空を運行する様子になぞらえられ、なんと太陽神ケプリの化身として、再生や復活の象徴とされ、神聖なものとして扱われていたためです。『平和』は古代ギリシャの芝居なので、ギリシャでフンコロガシが崇められていたかは定かではありませんが、最低のものでもあり、最高のものでもある、という、なぞなそのような面白さがあります。
ということで、”クソ”という言葉は、単に奇をてらっているわけではない、意外と奥が深いのだと、ご理解いただければ幸いです。
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