バリアフリー上映実現への道(1)
vol. 8 2021-12-11 0
「視覚障害、聴覚障害の方にも映画館でダンスを体感して欲しい」という熱い思いを、クラウドファンディングで皆様からのご支援を賜りながら始動しました。
その模様を数回に分けレポートしていきます。
第一回目は、「バリアフリー・音声ガイド制作始動!」です。
≪音声ガイド版≫
現在、バリアフリー音声ガイド版は、スマートフォンなどでアプリを使って、鑑賞する方が増えています。「名付けようのない踊り」は、UDCastのアプリを利用してのバリアフリー音声ガイドをご提供いたします。
UDCast アプリロゴ UDCast アプリ使用風景
〜制作過程〜
はじめに、音声ガイド原稿(初稿)を作成します
次に、モニター検討会を実施します。これは、監督と音声ガイド制作者、モニター(視覚障害者の方)が立ち合い、音声ガイドの内容をディスカッションしていく作業です。その後、修正稿を作成し、音声ガイドのナレーション収録を行い、音声ガイドを完成させます。
作品は、UDCastのアプリで配信し、使用される方は、UDCastアプリをインストールし、作品の字幕音声ガイドデータをダウンロードして使うことになります
くわしくは、こちらのリンクをご覧下さい。
〜1回目の会議 11月11日(木)〜
映画館のスクリーンにて大音量でダンスを体感してもらう映画を、視覚障害の方にナビゲーションしていく原稿の方向性を決めるための会議を行いました。
犬童監督の狙いは?会議の様子を少しお伝えします。
犬童監督:
「物語性の少ないダンスの映画を視覚障害の人たちにも伝えたいです。そのために音声ガイドの内容と方向性を決めましょう」
音声ガイド制作者:
「田中泯さんの踊っている雰囲気が伝わって欲しい、それぞれの感覚で見てほしい。映像の全てを説明するよりは、ポイントだけ説明して、間はそれぞれの人が自分で補って行ける音声ガイドにしたいと思い、原稿を書いています」
・・・なるほど、なるほど。それを受けて・・・
犬童監督:
「ダンスの場合、それは重要なことです。見る人に想像させる部分を持つこと…情報を過剰にしないクールな表現の音声ガイドがこの作品には合っていると思います」
音声ガイド制作者:
「田中泯さんの動きを逐一説明して見る人の自由な想像力を阻害しない。それぞれの想像力で感じ、楽しめるガイドにしたいです」
・・・監督、音声ガイド制作者、スタッフ全員納得です。ガイドの方向性が統一されました・・・
そして、その音声ガイドを誰がナレーションするのかは、とても重要なことです。
犬童監督:
「ナレーションは女性を想定しています。泯さんの声と交互に現れ作品の幅を出して欲しい。予告編の田中裕子さんもそこからお願いしました。読む方の表現も過剰にならず最小で、良いところを探って欲しいです」
・・・どなたになるのでしょうか???・・・
Palabraさん:
「犬童監督が監修で進めていくので、より作品性を損なわずに障害者の方に見ていただけるものになると思います」
犬童監督:
「ストーリーのないダンスの中心の映画が、視覚障害者の方々がそれぞれの想像力を使って各自の中で完成させていく…完成した映画以上のものに膨れ上がって行って欲しいなあと思います」
≪日本語字幕版≫
バリアフリー日本語字幕版は、映画館スクリーンで上映されます。(制作協力:アウラ)上映館・上映スケジュール等、詳細は「名付けようのない踊り」HPをご確認ください。
その他、アプリを使用し、スマートグラスで鑑賞する方法も提供しています。
「名付けようのない踊り」のバリアフリー上映は、単に映像情報の補助的な字幕・音声ガイドではなく、作品をより深く感じてダンスを体感していただけるよう、スタッフ一同頑張っていきます。バリアフリー上映実現への道は続きます。
次回は、音声ガイド・モニター検討会の模様をレポート予定です。