旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけさんから推薦メッセージが到着しました!
vol. 3 2024-11-19 0
ご支援頂き、ありがとうございます!
大学時代に日本一周、そして26歳から7年半かけて世界一周を成し遂げた旅作家&エッセイストの石田ゆうすけさん。
読んでいると自分も旅をしているような気持ちになる石田さんの旅行記には、『今日が人生最後の日』の臨場感と通じるものがあります。そんな石田さんは、この作品をどう読むのだろうか?そう疑問に思い、編集部で試訳した本作を読んでもらいました。
読みながら、嫉妬に近い感情を抱いている自分がいました。
こんな冒険はとてもできないなと。
自分は自転車世界一周というまあよくある旅行をしました。
その手の旅は大冒険のように思われがちですが、実際は現地の人も普通に自転車で走っているところをただつないでいくだけ。人並みの体力があれば誰でもできることです。おまけに予定にもある程度縛られます。なぜなら予算や季節があるから。お金が尽きる前にゴールしなくちゃ。雪にとじこめられる前に南下しなくちゃ。云々。
そういったしがらみや、あるいは世の規範からさえも解かれたように、まさに籠から放たれた鳥のように(パスポートすら持たずに!)国を渡っていく17歳の少女の姿は、痛快以外の何物でもありませんでした。
少女の旅は時に、いや終始、性と向き合わされます。容赦なく繰り返される性描写に、こんなに赤裸々な紀行が日本にこれまであっただろうか、と考えたとき、開高健の『夏の闇』が頭に浮かびました。もっともこちらは小説です。そう、小説だから書けることを、この著者ウリ・ルストは紀行という形で表現している。おそらく美化もせずに。そこに、この本が唯一無二の紀行文学となりえた要因があるような気がします。
同時に、ときおり差し込まれる詩的な表現によってさらに著者の内側の奥深くへと読者は導かれ、自由の意味を問う活動(旅)や、あるいは自由を求める生命そのものを追体験している気分になるんじゃないか。
読みながら遠くへ連れていってもらい、本を閉じたあとは世界が少し明るく見える。そういったことが紀行の意義だとすれば、この本はそのパワーの塊でした。
最後のシーン。さりげない終わり方ですが、余韻が残りました。
長旅の経験者として、とても共感できたので。
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プロフィール
石田ゆうすけ
旅行作家。和歌山県白浜町生まれ。東京在住。高校時代から自転車旅行を始め、19歳時に大学を休学し、1年かけて日本一周、大学卒業後は食品会社で3年3ヵ月営業職に従事し、資金を捻出、26歳から世界一周へ。無帰国で7年半かけ、約9万5000㎞、87ヵ国を走る。帰国後、次の夢であった専業作家に。自転車、旅行、アウトドア関連雑誌への連載ならびに寄稿のほか、ライフワークである国内外での食べ歩きの経験を活かし、食の記事も多数手がける。
世界一周の旅を綴った『行かずに死ねるか!』は国内で12万部、同著を含めた「世界9万5000㎞自転車ひとり旅」シリーズ3部作は、中国など3ヵ国で翻訳され、国内外で累計30万部を越えるヒット作になった。
文筆活動の傍ら、全国の学校や企業で「夢」「多様性理解」「モチベーションアップ」「食」をテーマに講演も行っている。講演実績は300回以上。アメリカや台湾など海外でも開催された。
著書の『行かずに死ねるか』は神奈川県の私立高校、及び兵庫県の県立中学の入試問題に、『道の先まで行ってやれ!』は長野県の国公立入試問題に使われた。
阪神タイガースとエレカシとサラダが好き。既婚、一児の父。
★新刊『世界の果てまで行って喰う ~地球三周の自転車旅~』
2024年10月17日発売。税込1760円。新潮社刊。世界一周では満足できぬ。ペダルを踏んでトータル地球三周(今なお更新中)。キューバでぷるんぷるんの丸焼き豚をフハフハ、松茸の極楽浄土ブータンでムハムハ。甘い水の桃源郷に遊び、トラックドライバーと串肉にむしゃぶりつく。天国メシと地獄メシ、心震える涙メシをみずみずしい筆で綴る胃袋旅行記。 https://www.shinchosha.co.jp/book/355751/
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