<応援メッセージ>下山田志帆さん
vol. 10 2025-07-18 0
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たくさんのご支援・応援、本当にありがとうございます!
今回は、なでしこリーグ2部スフィーダ世田谷FC所属のサッカー選手であり、2019年に女性の恋人がいることを公表後、LGBTとスポーツを軸にさまざまな活動を行ってきました下山田志帆さんに応援メッセージをいただきました。
本当にありがとうございます!!
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自分には、結婚や子どもなんて一生関係のないことだと思っていました。それに、結婚しなくても、子どもがいなくても、十分に幸せになれると胸を張って言えてしまう自分もいました。
2017年、サッカー選手としてドイツに渡ったとき。チームメイトのレズビアンの選手が、ふとこんな話をしてくれました。「引退したら、パートナーと子どもを授かりたいんだ。夢は、ビールを片手に、3人で地元のサッカークラブを応援に行くことなんだよ」それを“当たり前の未来”として語る姿に、ハッとしました。もしかしたら私は、国の制度によって、自分の「当たり前」をどこかで制限されていたのかもしれない。そう気づかされた瞬間でした。
その後、その選手が引退から2年後に子どもを授かり、インスタのストーリーに嬉しそうな様子を投稿しているのを見たとき、心から嬉しいと思うと同時に、どこか小さなショックを感じたことを今でも覚えています。
とはいえ当時の私は、そんな元チームメイトたちの姿を「別の世界の話」としてしか見られませんでした。結婚や子どもは、やっぱり“自分には関係のないこと”だったのです。
そんな私が昨年、付き合っているパートナーと、子どもをめぐって大喧嘩をしました。理由は多々ありつつも、根幹は子どものことを「年齢のリミットがある現実の問題」として考えていたパートナーと、
「自分には関係ない、別の世界の話」と捉えていた私。その、価値観の違いが、ぶつかり合いの原因でした。
その喧嘩をきっかけに、実際に世田谷で子育てをしている同性カップルに話を聞きに行ったことがあります。お家に上がらせてもらうと、かわいいワンちゃんが2匹寝そべり、ソファの上では1歳になるお子さんが楽しそうに遊んでいました。そのそばには、2人のお母さんがいて、笑っていました。ただそれだけの光景。でもその風景は、「子どもを持つこと」が私にとっても現実の話であると理解するには、十分すぎるものでした。
同じ国で、同じ制度のもとに置かれている人たちが、こうして幸せに子育てをしている。その姿を目の前で見て、初めて私の中の「当たり前」がガラリと変わりました。
今回、こどまっぷさんが制作し、わたしたちに届けてくれる映画「ふたりのまま」は、人生の見え方を変えるキッカケになると思います。「自分には関係ない」と思っていた人が、「もしかしたら自分も」と思えるような瞬間や「こんなふうに生きてもいいんだ」と思える風景に出会う。それがどれほど力になるか知っているからこそ、多くの人に届いて欲しいなと思います。
まだ見ぬ誰かの選択肢を広げるこのプロジェクトを心から応援すると同時に、私自身も、家族のかたちを考える一人として、この映画を見られることを楽しみにしています。
◎プロフィール
元女子サッカー選手 / 株式会社wagamama 共同代表
1994年、茨城県出身。東京で女性のパートナーとダックスフンドと3人ぐらし中。慶應義塾大学卒業。大学卒業後ドイツにわたり、2017年~19年シーズンはドイツでプロ選手としてプレー。2019年~2023年シーズンは日本・なでしこリーグでプレーした。在独中の2019年春に、同性のパートナーがいることをカミングアウトしている。著書『女子サッカー選手です。そして、彼女がいます』(偕成社)
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