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三人之会による第二公演「逃亡」の開催をクラウドファンディングで実現!

本水を大胆に使った舞台が作りたい!
三人之会第二公演「逃亡」ー書×映像×演劇ー(@三鷹SCOOL)ご支援のお願い

演出家・奥田知叡が主宰する三人之会の第二回公演として、書家・今子青佳、映像作家・田詩陽と共に高行健の『逃亡』を上演します。天安門事件に触発されて書かれた本作を、数百ℓの水を用いた美術、そして映像と演劇を通して描きます。

FUNDED

このプロジェクトは、目標金額200,000円を達成し、2023年10月23日23:59に終了しました。

コレクター
24
現在までに集まった金額
210,500
残り日数
0

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このプロジェクトは、目標金額200,000円を達成し、2023年10月23日23:59に終了しました。

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三人之会

「三人之会」とは、演出家・奥田知叡が生きているうちにどうしても一回は仕事をしたいアーティスト2名と組む3人組ユニットのこと。  第二回公演となる2023年度は、京都芸術大学大学院の同期でもある書家・今子青佳、映像作家・田詩陽と共に、ノーベル賞作家・高行健の「逃亡」を上演する。

中国文学・演劇との関わり②(奥田)

vol. 5 2023-08-12 0

こんにちわ。

三人之会主宰の奥田です。

引き続き北京の演劇学校、中央戯劇学院に留学していた時のお話をしようと思います。

中央戯劇学院は東城区の旧校舎、昌平区の新校舎に分かれており、昌平区は北京郊外に位置しているため交通の便は悪いものの、広大な敷地を有しており、日本で言えば総合大学並みの規模を誇ります。

それが国立の大学で(現地の人にとっては高額ですが、一年の学費は日本円で約30〜40万ほどです)、舞台芸術(演劇のほか、舞踊やミュージカル、伝統演劇の専攻などがあります)と映像芸術が専有しているわけですから、日本では考えられない厚遇といえますが、中国語には「天下没有免费的午餐」(タダで食える夕飯はない)という諺があり、演劇で何を表現するか、どう表現するかを政府が管理したいからこそ、多額の資金を費やして教育の環境を整えるわけです。

私の好きな中国の俳優に王学圻(多くの映像作品に出ていますが、実は林兆華が日本で『ハムレット』を上演した際出演しています)という人がいますが、彼は「中国人民解放军空军政治部话剧团」という劇団の出身です。これは中国の軍隊である人民解放軍に設置された劇団で、設立年はなんと1950年。日本の自衛隊にも楽隊はありますが、劇団があるという話は聞いたことがありません。

軍隊が演劇の劇団を抱えており、しかもその中からトップクラスの舞台・映像俳優が出ています。この辺りの事情を知ると、中国政府が演劇をどうみなしているのか一発で推測できます。

さて、話を中央戯劇学院に戻します。コロナ以前の話なので今の状況はよくわかりませんが、2018年当時は学部生とおそらく博士課程が昌平区で活動しており、一部の学生と修士の学生が東城区の校舎で学習していました。

東城区校舎は南鑼鼓巷(この通りはあとで出てきます)と呼ばれる北京の有名な観光街そばに位置しています。通りは京都で言えば河原町、東京でいえばそうですね…渋谷の交差点(通りではありませんが)なみに混雑しており、土日は学校から出るのも一苦労なのですが、その観光街から左右に無数の細道が走っており、そこには胡同と呼ばれる北京の古民家が広がっています。景観を保護するため北京の中心部一体は高層ビルを建設することが許されていません(京都みたいなイメージですね。よく、中国の北京と上海について、東京と京都のイメージ?と聞かれるのですが、実は真逆です。北京は古い都市なので、京都と同じように都市全体が正方形の形をしており、東西南北がしっかり分かれています。あまり知られていませんが、終戦時はまだ城壁が残っていました。一方上海は比較的新しい都市で、近代になって建てられた西洋の建築物も非常に多いです。東京に似ているでしょう?)。中心の大通りは観光地のためゴミゴミしていますが、一歩脇に入れば古い街並みが広がっており、とても居心地のいいところでした。

中国の学校はどこも全寮制のため、校舎の敷地内に中国人学生の寮と、留学生用の寮があります。昌平区の方に行くと、留学生は巨大な団地みたいなところに入れらるのですが、東城区の方はわずか三階の古いビルで、こぢんまりとしています。朝になるとビルの外から滑舌練習のための早口言葉が聞こえ、夜になると課題が終わった筋肉ムキムキの学生たちがバスケに興じます。食事の写真は①でお見せしましたが、大学の食堂が基本朝昼夜、そして土日も(おかずはほんの少しになります)食事を提供しており、食住に困ることはありません(衣の方も中央劇学院は面白い慣習があるのですが、機会があればまた書きます)。

敷地には二つの寮のほか、東側はピアノを備えた小部屋が7、8?ぐらいが並んでいました。中央には古い稽古場があり、一階には卒業生の写真がずらり。二階にいくつかの稽古部屋があり、そこが一番古い建物ということでした。北側の方には食堂と、2、3建物があるだけ。学生も多くなく、非常にこじんまりとしていました。

演劇に集中どころか没頭できる環境ですが、外部との交流が禁じられることはなく、日本の養成所では養成期間は外部への出演が禁止されることが多いと思いますが、中央戯劇学院の学生は期間中ドラマや映画に出ることもよくあります。(このあたりは「逃亡」でも言及があります)そして4年間が終われば、制作専攻は国立の劇場に勤務し、俳優の専攻者は事務所や公立系(給料が発生する!)の劇団に所属して活動を続けます。日本の演劇専攻が置かれている大学では卒業後演劇に関わる人は少数で、多くは就活をし一般企業に就職をしたがると聞いたことがありますが、この辺りの事情も真逆です。

何より重要なことですが、日本の場合、(舞台)俳優になりたいと親に言うと(食っていけるか)心配されることが多いと思いますが、中国では舞台俳優の地位が非常に高く、老師(先生)と呼ばれて尊敬されています。Twitterでも書きましたが、中央戯劇学院の学生は一専攻につき、一学年20人。そして演技専攻の場合、私が行った時は応募者は2万人。中国全土から集まってくるわけですから、身体条件が優れているのは当たり前。それと、これも日本ではあまりない現象だと思いますが、中国ではすでにドラマや歌などでブレイクした若い俳優が中戯(略称です)の学部生として入ってくることもあります。すでに売れているわけですから、4年間大学に通う必要はないように感じますが、中戯にはそうした人たちがきます。

「俳優の卵」と聞くとつい、昼はオーディションを懸命に受け、夜は遅くまでアルバイトをする苦学生のイメージを抱きますが(私が古すぎるだけかもしれませんが…)、「逃亡」に登場する娘はこういう苦学生のイメージとはむしろ正反対に描かれている可能性があります。

もちろんこの戯曲が書かれた1980年当時はここまで倍率がイカれてはいなかったと思いますが、それでもこの中央戯劇学院に入った時点で、その人は俳優として(さらに社会的にも)「勝ち組」に入るのです。在学中は様々な現場に顔を出せますし、北京の中心部に位置していますから娯楽や流行に遅れることもありません。キラキラとしたイメージがピッタリ合うでしょう(面白いのはキラキラ度は専攻によって変わるそうで、一番オーラがなく不健康さを醸し出しているのは映像(カメラ)専攻だそうです)。

つい、脇道が長くなってしまいました。本当は私と師匠の(ポスターとの)出会いまで話をしたかったのですが、それはまた今度。写真をあまりお見せできず申し訳ないのですが、とある事情で留学中の写真は食事以外ほとんど削除してしまったのです…

クラウドファンディングも引き続きご支援いただき本当にありがとうございます。現在舞台(美術)のプランも進んでおり、少しずつ具体化していっています。全部書いてしまうと当日の楽しみがなくなるため、ネタバレ注意の項を書くかもしれませんが、クラウドファンディングなので9月に入りましたらできるかぎり経過も報告していければと思います。

それでは

三人之会 奥田

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