制作日誌・第三回
vol. 4 2023-12-08 0
応援いただいている皆様、ほんとうにありがとうございます。
監督の東かほりです。
先日インフルエンザにかかり、久々の高熱の中、家の天井をひたすら眺めていました。
ぐるんぐるんとアニメーションのように天井の柄が動くあの感じ、子供の頃熱にうなされていたときの記憶がフラッシュバックして、しんどいけど懐かしい変な感情でした。
子供の頃の記憶って、旅行とかディズニーランドとかより、意外と何気ない日常を覚えていたりします。走馬灯ってそういうことが連なったりするのかなぁ。
今作では、そういった何でもない日を描いたりもしています。
脚本を書く上で、母と小説の登場人物の気持ちになって意見を言い合ったりしました。
この人はこんなことは言わないとか、こういう人を新たに入れてみたいとか。
母の考えた物語にお邪魔するのは不思議だけど、頭の中に侵入しているようで楽しかったです。
幼い頃の私は、母が忙しく構ってもらえないことが不満でした。
遊んでほしいけど、とにかく忙しそうで。人前でまったく話せないくらいの人見知りで、友達も全然いなかった私は、1人でおままごとをしてみたり、思いついた謎の歌をカセットレコーダーで録音して再生してみたり、孤独にならないための生き方を模索していました。
寂しいことに気づいてほしくて、母がパソコン(当時はワープロ?)で書いている文章の間に、「アホ」とか、「うんこ」とか、くだらない言葉をこっそり入れるいたずらをしたことがあります。
この世の終わりくらい怒られました。
そのまま先方に送る寸前だったみたいで、今考えるとなんて恐ろしいことをしたんだろうと思います。
なぜかその出来事を思い出したり、脚本をつくりあげる作業は母との過去を振り返る時間でもありました。
原作にも、東家の要素がちらほら散りばめられています。
「ロージン」は、うちの兄が野球少年だったので、兄がモデルになっていたり、
青いジャングルジムは、近所の公園にあった遊具だったり。
私の要素は、今回映画にはしていませんが、「マッサージ」に出てきてると思います、きっと。
いつかこのお話しも映画にしてみたいです。
もしこの制作日誌を読んでいる方で、私と話す機会がありましたら、原作の推しのお話しを、ぜひ教えてほしいです。
次回は、ロケハンや、撮影の日々についてなど書いていこうと思います。