実写映画化するにあたって大切にしていること
vol. 20 2025-09-03 0
支援者の皆さまへ
5月14日から始まったクラウドファンディングも残すところあと1週間!
ということで、漫画『となりのとらんす少女ちゃん』を実写映画化するにあたって、いま何を大切にしようとしているのか、知ってほしくて言語化しました。FBなどで投稿している内容と被りますが改めてアップデート記事として投稿いたします。
原作を読んだ時、もちろんトランスの経験とゲイ、ビアン、バイの経験は同じではないんですが、思春期の性的マイノリティが経験する「アイデンティティをめぐる自分自身との葛藤」「学校や家という小さな社会との格闘」の描写にめちゃめちゃ共感しました。
そして色々な人の感想を聞くうちに、その「性的マイノリティのアイデンティティをめぐる思春期の闘い」は性的マイノリティでない人にとっては新鮮に映る、という新鮮な気づきがあり(笑)これはちゃんと映画にして伝えたいと思ったのでした。
具体的に言うと、性的マイノリティの子どもたちは思春期にまず、例えば同性に性愛の感情を持ったりという「大多数の人とは違う自分自身」と少ない情報の中で手探りで向き合う必要があります。この過程で周囲に差別的言動があれば存在そのものを否定され、思春期が重く暗いものとなる可能性が一気に高まります。また若いうちから社会そのものが自分たちを前提として設計されていない事の残酷さとも折り合いをつけなくてはいけません。学校生活や友情や恋愛のあれやこれやを味わう手前の段階にまずこの大きな壁があることが、非当事者には伝わりにくいのかもしれません。僕はこの壁との衝突こそが性的マイノリティにとっての「青春」なんだと思っています。
しかし考えてみれば多くの創作物で描かれるのは、性的マイノリティが自己との葛藤を経たあとの、自己表現、恋愛や友情の関係構築、社会の不寛容との衝突といった「対 外界」の部分なんですよね。それが分かりやく表現しやすいから。だから非当事者にとっては性的マイノリティがそれ以前の段階で経験している内的な葛藤の部分が見えにくくなっているのかなと思ったりします。
そんなこともあり、今回の映画『となりのとらんす少女ちゃん』は原作に準じて、性的マイノリティの内的な自分自身との葛藤の部分に丁寧にフォーカスした物語にしたいと思っています。引き続きのご支援、声援よろしくお願いいたします。
また、Less is More. という株式会社インフォマートの運営するオウンドメディアで原作者のとら少さん、出版元の代表・浅野葛さんとともにインタビューを受けました。併せてお読みいただけたら嬉しいです
<『となりのとらんす少女ちゃん』から考えるトランスジェンダーが、ただ、となりにいられる世界。映画化に向けた道のり。>
https://note-infomart.jp/n/n911f4af8241a?sub_rt=share_pw
東海林 毅