Calo Bookshopの店頭より選書!
vol. 13 2025-09-14 0
本展の展示場所の一つであるCalo Bookshop and Cafe | Calo Galleryには、魅力的な書籍が数多く並んでいます。今回は、主催者である私、岡村が、本展に関連する...かもしれない書籍をいくつか選んでみました。どれも知的興奮を刺激する本ばかりです。
『貧しかったが、燃えていた 釜ヶ崎で生きる人々 昭和ブルース編』
庄司 丈太郎 著 / 解放出版社
先日に X(Twitter)でも推薦しましたが...この写真集には西成市民館近辺の『萩之茶屋通り』や『四角公園』の章が収録されています。ドヤに住まい、労働していた庄司氏が捉えた『仲間』や『友人』たちの肖像と、当時の街の風景がたくさん収録されており、本書に目を通してから西成市民館の"山本真人 | Tiger Park"に足を運んでいただきたい一冊です。
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『イメージ、それでもなお | アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真』
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン 著 / 橋本一径 訳 / 平凡社
山本真人氏の"Tiger Park"シリーズの主題である合板。その向こう側にあったであろう人々の営みを『想像』しようと思った時に、ふと頭に浮かんだのがこの本でした。イメージ(写真・映像)はどこまで届くことが可能なのか、そして私たちはどこまで『想像』することが可能なのか。一時期、ハードカバー版は絶版となり、古書が高騰していましたが、平凡社ライブラリーとして入手しやすい価格帯で刊行。必読の書です!
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『フィールドレコーディング入門 響きのなかで世界と出会う』
柳沢英輔 著 / フィルムアート社
ジョルジュ・ディディ=ユベルマンの『イメージ、それでもなお』は、徹底して『視ること』、思考における『想像』について再考を迫るものでした。では、徹底して『聴くこと』にはどのような可能性があるのでしょうか。本書は、その問いを考えるのに最適な一冊です。 ちなみに、immeasurableの1stリリースは、著者である柳沢英輔氏の作品でした。完売となっていたCD版の在庫をいくつか見つけたので、Caloにて近日販売予定です。 https://immeasurable.bandcamp.com/album/wetland
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『アートワーカーズ 制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践』
ジュリア・ブライアン=ウィルソン 著 / フィルムアート社
西成市民館の2階では随時『よろず相談』が開かれており、年金や生活、介護認定など、様々な相談に専門の相談員が応対しています。このような施設内で作品展示を行っていることから、今回の展示は社会的なアート・プロジェクトに分類されるかもしれません。しかし、アートは何かの役に立つべきなのでしょうか?1970年前後に試みられた様々な芸術家たちの社会実践を吟味した本書を再読しつつ、上記の問いを考え続けたいと思います。
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『頭のうえを何かが』
岡﨑乾二郎 著 / ナナロク社
脳梗塞片麻痺患者となった岡﨑乾二郎氏の回復(恢復)の軌跡をたどった作品集。重篤な病を患った人が『生』を取り戻すとはどういうことなのか。日雇い労働者が高齢化し、ケアを必要とする人々があふれる街で、『生』を取り戻すことは果たして可能なのか。このような状況に思考を巡らす時、本書の後書きの最後の言葉は、僅かであれ希望の光のように思えてきます。
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『而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here 展覧会公式図録』
岡﨑乾二郎 著 / ナナロク社
東京都現代美術館で開催された『岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here』展は私も観に行き、回復(恢復)後の岡﨑氏の作品には圧倒されました。その上で『頭のうえを何かが』とともに、本書に収録された宮本省三氏の『色彩のポエジー』はぜひ読んでいただきたい論考です!
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Calo Bookshop and Cafe | Calo Galleryでは、他にも様々な書籍が販売されています。直近ではアジア圏のZineなど、ここでしか買えないようなアイテムも入荷しています。展示作品を見た後、書籍をパラパラとめくり、また作品に戻ることで印象が変わったのなら、その本はきっとあなたが必要としている本なのかもしれません。
ぜひご来場ください。