ココロが開いた瞬間!
vol. 7 2015-09-07 0
9月5日(土)西尾市の市民劇「桃太郎狂言記」が無事終演しました。
K君は朗読劇の稽古の途中から、この舞台稽古にも参加していて、相当大変な数ヶ月でしたが、
最後まで逃げずに挑戦し続け、やり切ったことに、私はココロから感動しています。
普通に考えれば当たり前のことかもしれません。
でも彼にとっては、人前で芝居をすることももちろんのこと、その前のチームワーク、見習いとしてのやるべきこと、仕事との時間と体力の配分など、困難なことがたくさんあり、少し前の彼だったらとっくに挫折していたかもしれません。挫折と言えば聞こえはいいですが、多分逃げ出していた・・・。
特に人の気持ちを理解する、空気を読むことが苦手な彼は、役に成り切ることはどれほど難しいことか。小さい頃から彼を見ている私には、手に取るようにわかります。
「どんな風に言えばいいの?」「どんな顔をしたらいいの?」
家に帰ってその日の稽古を振り返り、色々試してみるのですが、なかなか答えは出ません。
一度、演出家からココロを開くワークショップを試してもらいました。
声をあげて泣きながら、演じる姿を初めて見ました。
彼にとって、奇跡的な瞬間でした。
でも、毎回これが出来る訳ではなく、その後の稽古も苦労し続けていました。
声は出るようになったし、人前での恥ずかしさもなくなったのですが、
自分を捨てる、役の気持ちに成り切ることは、なかなか出来ません。
そして5日の本番、後にも先にもこれが最後の第二部。
友と共に死を覚悟して敵に挑む「犬彦」の心情を、全身全霊で演じたのです。
親友という存在が出来たことがない彼にとって、この場面の気持ちを経験で演じることは出来ないはずです。社会的想像力の障がいもある彼は、その状況をどのように想像し、自分のものにしたのか?
お客様を送り出す時の彼の笑顔は、汗まみれでしたが、これまでにない爽やかな顔でした。
朗読劇で共演したNちゃんも、体調が回復し観に来てくれました。
「すっごく良かったです!」真っ先に私にそう伝えに来てくれたNちゃん。
嬉しい再会でした。