3.11以降、「測定」がすべての根っこである理由 vol.10
vol. 19 2021-04-21 0
この連載は、今回=第10回を節目に一旦休止します。そして言いたかったことはというと、そもそものところに戻るわけです。
「豊かさ」とは、選べる自由。選択肢がない状況は、貧困の中や独裁政権の圧政からも生じます。僕らは一人一人、当たり前ではないその権利を守るため、常に臨戦態勢でいる必要があります。為政者や他の誰でも権力者が、僕らの思考停止を促し、答えありきの押し付けをしだした時こそ、注意が必要。そして同時に、同じことを自分自身がやっていないか、自戒と謙虚さがいつも大切なわけです。
僕にはアートや音楽を一応でも専門とした物書きとして、動乱の世を求めてきたフシがあります。だって魅力溢れ、今も魅了されてやまないそれら表現の塊は、必ずと言っていいほど、乱世に生まれていたから。
だから福島で原発が爆発し、当初は東京からも逃げながら「あ、自分が今そこにいないで存在に何の意味がある?」と気づくまで、そう時間はかかりませんでした。現場で、聴いたことのない音楽や見たことのないアートに出会えないか、そんな期待をどこかでしていたかもしれません。
でも現地で見たものは、人間が本来持ちうる創造力を総動員して、「測定」という事業にとりかからねば、アートとされる枠で表現することのずっと手前で、選ぶ自由がもぎとられそうな状況でした。地味だろうがわかりにくかろうが、淡々と続く日々の積み重ねだけが、狂ってしまった日常を治す力を持っていたのです。
そしてそれを実現させ持続するため、自分ごときの主義主張や好みがいかに無力か。それらは脇に置き、大きな目的のため同じ時に同じ場に居合わせた運命を共有する方々と協同することの尊さを、痛感したのでした。
10回以降も、また機をみて再開します。
ではどうか、クラファンのご支援、ご協力のほど、心よりよろしくお願いいたします。
The 10th FUKUSHIMA, Nippon AWAKES発起人 平井有太
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発起人平井有太の連載をお読みいただき、誠にありがとうございました。
市民による放射能測定を支援するという、このプロジェクトの目的や彼の想いを感じていただけたら幸いです。
本連載は一度完了しますが、引き続きこのクラウドファンディングに賛同、協力してくれたアーティストと作品についてお伝えしていきます。引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。